大切だからこそ―キラVer.―








戦争が終結してしばらく経った頃、僕にはある問題が出来た。














もじもじ…として僕が今いる所は…アスランの部屋の前。

(勇気を、出さなきゃ………。)


「あの…アスラン!!!」

僕は、思い切ってアスランの部屋へ飛び込んだ。
アスランは………寝てた。




「…………………。」

アスランの、静かな…ほんのかすかな寝息だけが聞こえる静かな部屋。
寝ているアスランは、すごく綺麗でお人形さんみたいだった。
































































「………ん…………。。…Σうわっ!!キラ!!?」

「あ。起きた。おはよう、アスランv」

「…あ、ああ…。。おはよう、キラ……………っじゃなくて!!!!」

ガバッ!と起き上がるアスラン。
さっきまで寝ぼけてた筈…さっすがアスラン!目、覚めるの早いね!!


「何で、キラがあちこちにリボンつけてここに…俺の部屋に居るわけ?」

「変かな?…似合ってるって言われたんだけど………」

「誰に!!?ってゆーか何でキラがそんなカッコするに至ったんだ?!」

「……………………………………………だって………アスラン、今日…誕生日でしょ?」

おずおずと言い出した僕に、アスランは固まったかのようにピタッと止まった。








「誕、生日……?………でも、何でキラが、そんなカッコしてるんだ……??」

現在の僕の格好は…………首と、頭にピンクのリボン、猫耳と、ダボダボ(大きなサイズ)のTシャツ――膝上くらいまである長袖のTシャツなんだ――…、あと右足にこれまたピンクのリボンが編み上げられてる。

「装飾品♪」

「…いや、そうじゃなくて……ι」

「この間ね、思い出したんだ。小さい頃に、アスランが言った事。」

「?」






――――――――回想。。

「ねえアスラン?」

「何だいキラ?」

珍しく甘い声を出すキラに、ノリノリで答える(嬉しそうな)アスラン。

「今度の誕生日プレゼント、何がいい??」

キラ。」

「……………………即答?」

「何言ってるんだ。それしかないじゃないか!!」

「…………………………聞いた僕が馬鹿だったよ。。」





「……って事があったじゃない?」

「あ、ああ…。(そういえば……)

「あの時は結局、僕が作った僕自身の人形だったけど……。
思い出してさ。だから、今年の誕生日プレゼントは、だよ




Σぐはぁっっ!!!




「あ、ああアスランっ!!!血、血出てるよ;;!!!」

「大丈夫だ………。。」

「でも、血………。。。。」

「大丈夫。ちょっと待ってて、顔洗って来るから。」

「うん。」

そのままアスランは顔を洗いに行った。



………そして、すぐに帰ってきた。


「キラ………一応確認するぞ。」

「うん。何?」

「俺達は、恋人同士だよな?」

「うん。」

「じゃあ……すでにキラが俺のモノだって事、わかってる?」

「…………………………………………。」

(い、言われてみれば………そうだったよ。。うわ〜〜ん、僕のばかばかーーっ!!!)

ポカスカと自分の頭を叩く。
やっぱりアスランは何でもお見通しだったようで、

「やっぱり………よくわかってなかったんだな?
一応俺達同棲してるんだけどな……。」


終戦後、僕はプラントに住む事になった(※軍の命令で)。
でも……母さん達はオーブにいる。消息は…不明。だから、連絡が取れずにやむを得ず一人で。

そんな僕に、アスランは……

『キラ、一緒に住まないか?』

って言ってくれた。
二人で物件をいくつか回って、二人で住む物件を探して。

おかげで今や僕はアスランと二人で同棲状態。
誰も止める人が居ないので、アスラン何でもヤりたいやりたい放題だから………。。



「ご、ごめんアスラン…。けどっ!これ以外に思いつかなかったんだもの、………誕生日プレゼント。」

ポツリポツリ、と呟くように言った言葉を、アスランは一字一句聞き逃さなかったようだ。

「キラ。………気持ちだけで、充分だから。俺は……キラさえ居れば、それでいいんだ。」

「アスランっ……!!」

(やっぱり……好きだなぁ………vv)

こんなアスランだからこそ、僕は……




「えへへ…vアスラン………大好きだよ!!」

僕は、笑顔満面になって、アスランに抱きついた。


「Σわっ///き、キラ…?」

「大好きだから////……ずっと、ずっと、大好きだからねっ!!///」

「キラ………。」

僕をしっかり抱きしめるアスラン。
その腕の中が、たまらなく居心地よくて、僕はいつも甘えてしまう。


「………ねえ、キラ。そろそろ離れて?
俺からキラの顔がよく見えないだろ?」

「あ・うん…。。」

慌てて少し離れる。

(そっか…抱き合ってたらお互い顔が見れないんだよね。)

「………あ。」

「何?キラ。」

「結局、誕生日プレゼントどうしよう………。」

――僕は何も用意出来なかった。

ニコルやラクスみたいに音楽が出来るわけじゃないし、
僕に出来る事といったらプログラミング能力と戦う事ぐらいしかない。

でも、アスランだってプログラミング能力に長けているし、
戦後の今、戦う……戦闘はもう、皆無に近いほど無い。
アスランも僕も軍を抜けて、今は平和な暮らしをおくっているし……。。。

僕は、アスランに何も……してあげられる事が無い―――。





























「じゃあ、こうしないか?」

「?なあに??」

「………こういうのは駄目?――……。」

その後にアスランが言った言葉…………………は、
それだけで僕をゆでだこ状態にするに充分だった。

「…………クスッ。…キラ、顔真っ赤だよ。」

「だ、だだだだだだって……っ/////」

「……………やめる?」

「………いや!!」

いたずらっ子みたいなアスランの笑み。
まるで猫みたいなアスラン。
綺麗で優しくて、カッコよくて……………僕の、大好きなアスラン。
そのアスランの願いなら…………。。。。
































ギィ…と、扉の開くような音がした。
けど、僕は今現在、そんなのに構っていられるほど余裕が無い。





「あ…………あ、……愛してるよ、アスラン////////」


(は、恥ずかしい…………/////)


そ〜…っと顔をあげてみると、嬉しそうに微笑んだアスランの笑顔。
……………少し、赤くなってる。

(アスランでも照れるんだ〜…♪)


それから、僕は危なっかしく、アスランにキスをした。
……自分から、なんて初めてだから…上手く出来ないけど。

首筋、おでこ、頬…………そして最後に唇。

いつも、アスランが僕にやってくれてるように。
……………出来たかどうかはわからないけど、アスランは、驚きながらも、喜んでくれてるみたいだった。











「………アスラン、いつになったら僕達に気づいてくれるんですか?」

(え?)

「!ニコル……」

「私も忘れては困りますわ。」

(ええっ?!)

「ラクス!貴女まで………」

「「アスラン、わざとらしい(です)(ですわ)。」」

えええええええええーーーーーーっ!!?//////」

“何で二人がここに居るの!?”

と、言ったつもりだったけど…口はただパクパクするだけで何も言葉を発する事が出来ない。


「で?何で二人がここに居るんだ?(折角イイトコだったのに!)」


「だって、今日はアスランが誕生日だからパーティーを開くって……」
「キラから聞きましたの。」

“ねー?”

息ピッタリのラクスとニコル。


(そういえば………数週間前に、皆に言ったんだっけ??)

『アスランの誕生日パーティーするから来てねv』って………。




「キ〜〜〜ラ〜〜〜〜〜〜〜?」

恨みがましいアスランの目。
あっちゃ〜〜……邪魔されて怒ってる…。。。

「あ、あはは……ごめん、アスランι」

どうして謝る必要があるんだ?

「え、っと……その………;;;」


困ってる所に、ニコルとラクスが、僕とアスランの間に割って入った。


「アスラン、誕生日おめでとうございます。プレゼントは、後日お渡しする、という事で…」
「僕達はこれで帰りますv」

「…………わかった。(さっさと帰ってくれ。)」

頷くアスランを見ると、ラクスもニコルもドアの方に引き返した。

「え?ちょ、ラクス、ニコル!!………いい、の?」

「ええ。構いませんわv」
「面白いモノ……というか、可愛いキラさんが見られたので、よしとします♪」

「………………もしかして、二人共…………見てた?」

「それはもう、」
「バッチリですわvv」


「〜〜〜〜〜っ////////」


それでは、…と、二人は帰っていった。
僕は真っ赤になって固まるばかり。








「…………キラ。」

「Σ!!!………アスラン……////」

「“愛してる”…って、やっと言ってくれたね。」

「あ、あれはっ////アスランが……言って欲しいって言ったんじゃないか//////」

「…キラが恥ずかしがって言ってくれないからな。」

「んもうっ/////」

プイッとほっぺを膨らませてそっぽを向く。
けど、アスランにはお見通しなんだろうな……。

「………キラ、愛してるよ。…ずっと。」

耳元で静かに囁くアスランの魅惑的な声。

「…お誕生日、おめでとアスラン//////」

「ありがとう、キラ。」

満面に笑ったアスラン。
ずっと真っ赤な顔のままな僕。

(ラクスとニコルに恥ずかしい所見られちゃったけど、もーどうでもよくなっちゃった。)










その日、一日中アスランと僕は一緒に居て、ずっと側に居た。
一緒にご飯を食べたり、話したり、ショッピングに行ったり遊んだり。
何の変哲も無いこんな日常が手に入った今だから、だからこそ大切にしたい。




「………ずっと……愛してるよ、アスラン////」

横で眠るアスランにキスを一つ落として、僕も眠りにつく。





――――幸せな日常に浸りながら――――――。








END