髪の毛との戦い2(それぞれの戦い番外編)
〜イザークの永遠なる戦い〜





何を隠そう、このストーリーは
髪の毛との戦い〜イザークの大いなる秘密〜、のその後である。


「おい、ニコル。聞いているのか!?」
「えっ・・・聞いてますよ。いきなり何ですか。」
作戦会議中。イザークは、今日もイラついていた。
何故ならば。そういうニコルの視線が、自分の顔ではなく、明らかに頭のてっぺんや生え際辺りを彷徨っているのだ。
いくら愛用のカツラを着用しても、ハゲである事がばれてしまった以上、自然と頭に注目してしまう。
皆でテレビを見ていても、コマーシャルで育毛剤やアー○ネイチャーの宣伝をしていると、視線が一瞬イザークに向けられる。
(屈辱だ・・・・!)
「・・・何でもない。」
半ばニコルを睨んだまま、イザークはそう答えた。
しかしニコルだけではない。作戦会議室にいるほぼ全員が、ちらちらとイザークの頭に視線をうつすのだ。
特にクルーゼなんかは、噂で聞いただけで実際には見たことが無いので、その事実を確認しようとして物凄くイザークの頭を見ている。
おかげで作戦会議室の隠しカメラまでもが、イザークの頭の位置に向いてセットされている。
唯一、ディアッカだけは、イラついているイザークを心配そうに見ていた。
(たまに愛しそうにイザークのてっぺんを見る事はあるが。)


「・・・それでは、失礼します!」
会議が終わると、すぐにイザークは作戦会議室を出て行った。
「あっ・・・イザーク。待ってよ〜!!!」
ディアッカが急いでイザークを追いかけていった。
「はぁ・・・。」
クルーゼは今日も事実を確かめる事ができなかったので悲しそう。


「イザーク!イザークっ・・・・待ってよ!・・・あ。」
ディアッカがイザークを追いかけていると、イザークにとって恐怖の物体が現れた。
「ハロッハロッ!ゲンキカ???」
(・・・・げ。)
そう。前回。もとはといえばこいつのせいで俺のハゲがばれたのだ。
「まぁ、イザーク様。」
ラクスがニッコリと微笑んだ。
「・・・・!!ラクス。」
ハロの声を聞きつけて、アスランやニコルもやってきた。
「アスランお久しぶり。」
ラクスは引き続きのほほんとしていた。イザークの気も知らずに。
その時。
「ハゲッハゲッ!」
「・・・・・・!!!!!」
「ハゲッハ・・・」
びっくりして、アスランがハロの口を抑えた。
(何を言い出すんだハロ!!!!)
「貴様ぁ〜〜〜〜〜!!!」
イザークはキレた。こんな球体にバカにされるなんて。
「その球体をよこせっ!!ぶっこわしてやる〜〜〜〜〜!!」
「いけませんわ、イザーク様。アスランからいただいた大切なハロですもの。あぁ、アスランもハロを離していただけます?ハロが窒息してしまいますわ。」
「ラクス・・・・。ハロは窒息しませんよ?」
ふと、イザークは思った。
「そうだ・・・。ハロをプログラミングしたのはおまえだな?アスラン・・・・俺をバカにしやがってぇ〜!!!」
そのままイザークはアスランにとびかかった。
「やめろ・・・・!そんな言葉をプログラミングした覚えは・・・・!」
本当にないんですが。どうしたんだハロ。
「止めてくださいイザーク!暴力はよくありません!」
「そうですわ、イザーク様。それにハゲだって考えようではチャームポイントですわ。」
そうか・・・?
「では、ラクスさん、アスランがはげたらどうします?」
ニコルが興味本位で聞いた。
「う〜ん、・・・・考えられませんね。」
説得力ないぞ〜?こういう時は嘘でも構いません、とかいうべきでしょう。
「うっ・・・・バカにするなぁ〜!!!!!」
イザークは走り去った。
「あぁっ!イザーク!大丈夫???待ってよ〜!」
やはりディアッカが追いかけた。
「まぁ・・・私何かまずい事を言ったのでしょうか?」
・・・ちょっとね。
「イザーク・・・泣いているように見えましたね。それほどまでに・・・。」
「ディアッカに任せよう。」


イザークは自室に入ろうとした。
「ついて来るな!おまえだって俺の事をバカにしているんだろう!?」
「そんな・・・俺は・・・。」
「会議中俺の事ばっかり見ているじゃないか!そんなにはげがおかしいか!!!」
・・・・確かにイザークの事を一番見ているのは彼ですね。
「俺は・・・イザークの事が・・・・・すっ、好きだから。」
前回大声で叫んだのに今ごろ何を照れているんだ?
「ふざけるな!!!」
イザークは部屋に入って扉を閉めかけた。
「ふざけてないよ!」
「・・・・俺は・・・ハゲだぞ?」
イザークが小声で言いにくそうに言った。よほど気にしてるんですねあなたは。
「そんな事どうでもいい。イザークはイザークだよ。」
「・・・・入れ。」
イザークは、照れながらもディアッカを招き入れた。
「キレイな部屋だね。」
「そんな事は無い。・・・座れ。茶ぐらい入れてやる。」
そう言ってお気に入りのティーポットで特製紅茶を入れ始めた。
「ねぇ、イザーク。あの部屋は何?」
やはり気になる。隅にある地味な扉。
紅茶をディアッカに出しながら、イザークは冷たく言った。
「・・・そんな事どうでもいいだろう。」
「・・・うん。いいけど・・・・。」
しばらく、沈黙が続いた。


「ねぇ、イザーク。」
「何だ?」
「カツラ・・・はずしてはくれない?」
「・・・・!!!いきなり何を!」
「ありのままのイザークを好きでいたいんだ。」
「おまえ・・・・。」
「嫌?」
「・・・・笑うなよ。」
そう言って髪に触れた手が少し止まった。
一瞬、一息ついて。
かつらをはずした。
イザークは恥ずかしそうにてっぺんを手で抑えている。
「じろじろ見るな。」
「イザーク・・・可愛い。」
「ばっ・・・・ばかにするなっ!」
「ばかになんかしてないよ。大好き。」
そう言ってイザークの手をどけて、てっぺんにキスをした。
「・・・・!」
イザークの白い肌が、みるみる赤くなった。
「どこにしている!!?」
「どこって・・・・だって、口同士はイザークの方からって決めてるし。」
「勝手に決めるな!しかもだからってなんでこんな所に!」
「だって、俺はイザークの全てが好きだから。」
「変なところにするな。髪の毛が洗えなくなるだろう。」
「イザーク・・・・!(感動)」
「・・・・おまえは男の趣味が悪いな。」
「男の趣味だけは最高だよ・・・」
言い終わらないうちにディアッカの頬にキスをした。
「イザーク・・・(もうかなり感動!)」
「口はおあずけだ!・・・・俺が人前でかつらをはずせるようになったらな!」
「もうはずしてるよ?」
「おまえ以外だ!」
「しなくていいよ、アスランやニコルがイザークの魅力に気付いたら大変だ。」
「・・・・ばか。」
気付かないと思いますよ、ディアッカ以外。

そんな訳でイザークは、はげがばれたその後ディアッカと幸せに(?)暮らしています。


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