エイプリル・フール♪


「イザーク〜★愛してるよ〜!!!!」
「おまえなんか、大っ嫌いだ!」
ディアッカの求愛を、いつものようにイザークは冷たく退けた。
「もう、素直じゃないんだから・・・・♪」
「俺は素直だ。・・・・だいたいおまえうざいんだよ!」
イザークは真顔でディアッカを睨んだ。
「イザーク・・・・。」
その時。
「なんだここにいたのか。探したぞ。イザーク、クルーゼ隊長が・・・・。」
「あぁ、アスランか。どうした?俺様に会いに来たのか?」
「なっ・・・何バカな事言ってるんだ!隊長からの伝言を伝えにきただけだ!」
「へぇ、そんな事の為に俺を探し求めてたわけ。」
「おい・・何わけのわからない・・・・」
ふと横を見ると、ディアッカが今にも泣きそうな瞳をして、2人を見つめていた。
「アスラン、行こうか。」
そう言ってイザークは、アスランの腕に手を絡めるようにして、アスランを部屋の外に連れだした。
・・・パタン。
「イザ〜ク〜・・・・。」
ディアッカは多量の涙を流した。
俺はこんなにイザークを愛しているのに。
イザークにとって、俺の愛は迷惑だったのか。
あぁ今ごろイザークはアスランと・・・・。
「うっ・・・う・・・」
ディアッカは悲しみのあまり声をだして泣いた。


扉を閉じるとすぐに、イザークはアスランの腕を放していた。
アスランはすぐにその意味を理解した。
「あまりいじめてやるなよ。」
「ふん、余計なお世話だ。」
・・・くせになってるようですね。


ディアッカはそれから部屋を出てこようとはしなかった。
確かに、普段からイザークは冷たかったが、ここまではっきりと嫌だという態度をとったのは初めてだった。
コンコン。
扉をノックする音が聞こえた。
・・・イザークじゃない。
「・・・・。」
「ディアッカ?」
扉の向こうから心配そうな声が聞こえる。
(ニコルか・・・。)
「ご飯の用意できてますよ?」
「・・・・・・。」
「・・・・ディアッカ?」
「・・・いらない。」
「そんな。ちょっとは食べないと。とにかく出てきて下さい。」
「嫌だ!イザークとアスランがイチャついてるところなんて見たくないよ!」
「は?」
ニコルは意味がわからなかった。
そりゃそうでしょう何も知らないんだから。
「ディアッカ、何を言ってるんですか?」
「とぼけるなよ!今食堂でイザークとアスランがイチャついてるんだろ!?そんな所に行ける訳無いだろう!」
ディアッカは泣きじゃくって叫んでいる状態だった。
その声は勿論、食堂にいるイザークとアスランにも届いていた。
ニコルは思った。
確かに今食堂に2人がいる事には変わりはないが、イザークとアスランが座っている席はかなり距離が離れていてさらに無言だった。しかも自分は・・・・。
「何を言っているんですかディアッカ。第一僕はイザークに言われてディアッカを呼びに来たんですよ?」
(え・・・・?)
「バカ!ニコル余計な事を!」
イザークの声が聞こえた。
「あれ?イザークが何でここに?あ、ディアッカが心配で来てたんですね。」
「違・・・っ!」
カチャ・・・・。
ディアッカが扉を開けた時、イザークの顔は真っ赤だった。
「僕、先に行ってますね。」
状況を察したニコルは、そそくさと立ち去った。
「イザーク・・・・?アスランはどうしたの?」
「あんなやつあれから口きいてない。」
「でも俺の事ウザイって言ってアスランの腕を・・・・。」
「ディアッカ。今日は何の日だ?」
「・・・・?」
ディアッカは何を言われているのかがわからなかった。
「今日は何月何日だと聞いている。」
「えっ・・・と、4月1日?」
「エイプリル・フールだ!」
思いっきり照れながら言うと、ディアッカの唇に自分の唇を重ねた。
「・・・・・!」
ファーストキスだったりします。
「イザーク・・・?」
目の前で起こっていることに理解のできないディアッカが、呆然と愛する人の名前を呟いた。
「だから!今日はエイプリル・フールだから俺の気持ちと反対の行動をとったんだよ!」
ディアッカはしばらく間をおいて、やっと夢のような現実のイザークの言葉の意味を理解した。
「イザーク〜★愛してるよ〜♪(感激)」
イザークは飛びついてきたディアッカに困りながら、10秒程度黙ったままで。
ディアッカは不安そうにイザークを見た。
そして、イザークは頬を赤らめながら小声で言った。
「・・・・嫌いじゃない。」


その後、食堂にはイザークと幸せそうなディアッカの姿があった。





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