12月の末、ザフトの軍基地内で、少年達の声が聞こえた。
「ニコル、おまえは正月に何か予定あるのか?」
「えぇ、まぁ♪アスランはラクス嬢と?」
「あぁ、そうだよ。ニコルは誰となんだ?」
「秘密です♪」
ニコルは嬉しそうだった。
アスランは思案したが、ニコルの想い人と思われる女性は見当つかなかった。


「お待たせしました、ラクス。」
年が明けて、初詣に行く為にアスランはラクスを迎えに行った。
「明けましておめでとうございます、アスラン。」
「おめでとうございます、ラクス。・・・着物、似合いますよ。」
ラクスの艶やかな衣装をみて、アスランが言った。
「ありがとうございます。」
ラクスが微笑んだ。
「それでは行きましょうか。」
2人は他愛もない話をしながら初詣に向かった。
「そういえば、ニコルも誰かと正月を過ごすらしいのだが・・・教えてくれなかったんですよ。
誰だと思います?」
「ニコル様ならさっきお見かけしましたよ?イザーク様とご一緒に。」

「・・・・え?」

「あら、お気付きになりませんでした?それはもう仲睦まじそうに。」
「何で言って下さらなかったのですかラクス〜。。。」
「え?ご存知でいらっしゃるものかと・・・;」
しばらく言葉を無くしていたアスランは、衝撃の現場を見逃した事を激しく後悔した。


「イザーク、おみくじどうでした?」
「ふふんっ・・・・大吉だ!」
イザークが嬉しそうに大吉と書かれたそれを見せる。
「うわぁ、いいなぁ。僕なんか末吉ですよ〜。」
末吉と書かれたおみくじをみるニコルはちょっと不服そうだ。
「イザークは何をお願いしたんですか?」
「そんなの、秘密だ。」
「え〜内緒にするんですか?」
「お、あそこに絵馬があるな、書いていくか?お互いみせっこなしだぞ。」
「わかりました、いいですよ。」
ニコルは、願い事を書きながら考えた。
イザークはなんと書いているのだろう。
・・・・・・・僕の事なら、いいな。
チラッと覗きみた、イザークの顔が凛々しい。
おみくじを結び付けると、2人は神社を後にした。


「イザーク、今日は・・・・誘っていただいてありがとうございます。」
イザークに買ってもらったクレープを持ったニコルが満面の笑みで言った。
「あ、あぁ・・・・何も予定なかったしな。」
「そうなんですか?この前ディアッカから・・・・イザークを初詣に誘ったら断られたって聞いたんですけど・・・。」
「・・・・・・・。」
イザークは、明後日の方向を向いて答えなかった。
ニコルからイザークの表情は読み取れなかった。
返事がない変わりに、こう言った。

「また、来年も一緒に来れるといいな。」

「・・・・・はい!」

ニコルはクレープを持っていた手を持ちかえて、空いた手をイザークの腕に絡めた。




「はぁぁ〜・・・・。」
「アスラン、お気を落とされないで下さいませ。ほら、こうしてお結びになれば、大凶の厄も飛んで行きますわ。」
大凶を引いたアスランに、ラクスが自らの大吉のおみくじを結び付けて言う。
「本当に、今日はついてないなぁ〜。」
アスランが力なくおみくじを結び付けていると、ラクスが言った。
「アスラン、あそこに絵馬がありますわ♪せっかくですから書いていきましょう。」
「絵馬ですか?・・・・わかりましたよ。」
早く、と誘導するラクスの方に歩いてゆく。
その時、ラクスが声をあげた。
「まぁ、ニコル様とイザーク様の願い事がありますわ!」




もっと、イザークと2人で過ごせますように。
ニコル・アマルフィ


来年も再来年も10年後も、俺の隣にニコルがいますように。
イザーク・ジュール