せっかくなのでDC-DCコンバータ解説。だらだらと長文になったので注意。
Romisen RC-T5をフルスペックで点灯させたい、でかくなってもいい、というもの。
自転車に車載するため。
でけーよ!とかいう文句禁止。でかさは度外視して、簡単さと効率をそこそこ追求した結果。
18650×5〜6(15〜25V)から CREE XR-E ×4 (14.2〜15.2V)に降圧するコンバータ。
いわゆる降圧スイッチング電源だけど、余裕の大電圧大電流、安定な電流制御で
ランタイムの間フルレギュレーション保つのが目的。
# もう少し賢いコンバータなら、電池切れ寸前でどうしても出力を確保できない場合
# 大幅に電力を落として点灯し続けたりするようだけど、このコンバータではやらない。
降圧コンバータってのは、コイルが一定の電流を流しつづけようとする性質を利用して、
コイルに充電したり放電させたりを繰り返して出力を調整するものです。
左図を見ると、スイッチが2つあるけど、スイッチング電源は同時にどちらか片方をONにして動くもの。
コイルに電池をつないだりグランドをつないだりをすばやく繰り返すわけですな。
すばやくパチパチパチ…と切り替えるからスイッチング電源といいます。
電池をつないでる状態(上ON状態)では、出力に15Vが使われて、コイルは5Vで充電してる。(中図)
GNDをつないでる状態(下ON状態)では、出力に15Vが使われて、コイルは同じ電流を流しつづけようとするので、
同じ電流を流し続けるには15Vを発生しなきゃいかんので、15Vで放電することになる。(右図)
5V充電を単位時間3、15V放電を単位時間1の間繰り返せば、コイルはプラマイゼロで電源はうまく動作しつづけます。
入力や出力が変動したら、この時間の比率をかえるわけですな。
そのために、コントローラICに、出力をフィードバックします。
コントローラICは、出力を見ながら、スイッチの切り替える比率を調節させるのです。
出力が強すぎたら、GNDにつなぐ比率を多くして、出力が弱すぎたら、電池につなぐ比率を多くするという感じ。
ちなみにここで出てくるICは52kHz、最近の小さな奴だと1MHz以上のスピードで上SW/下SWを切り替えます。
切り替えスピードが遅くなってくる(15kHz程度まで落ちてくる)と、「キーン…」という音が人間にきこえます
どこかで聞いたことある人、いるんじゃないでしょうか。
実際の回路では、上SWがコントローラーIC、下SWは、ダイオードで代用します。
ダイオードは実際には多少ロスがあるので、ダイオードじゃなくて、ロスの少ないスイッチ(FET)で代用したのが
同期整流型スイッチング電源ICというやつです。ググればいっぱい出てきます。効率98%とかやりたい放題ですな。
上級者なら使ってみてもいいかも。
俺には無理(´・ω・`)IC小さすぎて周波数高くて回路小さくてハンダ付けできないし…
ごちゃごちゃ書いたけど、LM2576(上SW)、ショットキダイオード(下SW)、コイル(380μH)がメイン。
他はオマケみたいなもんです。原理の図と比較してみてね。
前後のコンデンサは、入出力を安定させるため
FBはスイッチのON/OFF時間を調節するためにあります。
出力のCREEを省けばFBの電圧を作る回路がちょっとごちゃごちゃしてるけど、他は単純でしょ。
LM2576は、FBが1.23Vになるようにスイッチの比率を調節してくれるICです。
FBが1.23Vより高かったら、「おっとっと高すぎた」とばかりに電源を切る時間をふやして、
ダイオードからコイルに流れるにまかせます。
FBが1.23Vより低かったら、低すぎたとばかりに、電源を入れる時間をふやして、出力アップします。
とっても素早くやるので、FBのピンにテスターあてても1.23Vにしかみえないよ。
というわけで実は1.23Vを作るなら簡単なんですな。出力をそのままFBにつなげばいい。
でも定電流制御するなら、出力を抵抗に流して、その電圧を見なきゃいかんです。
1A時に1.23Vになるような回路…簡単!1.23Ωを繋げてそこに1A流せば…1.23h使うやん!
それじゃ消費電力がでかすぎるので、もっと小さい抵抗を使います。
ここでは0.05Ωを採用。1A時に0.05Vになります。
そして0.05Vをアンプで増幅して、1.23Vにする(つまり24.6倍に増幅)といいわけですな。
ここでのFBを作る回路は、そういうことです。Rsenseってのが、0.05Vを発生する抵抗。
アンプには電流は流れ込まないので、CREE×4を通った電流は全部Rsenseにいくと思ってください。
アンプは、LM358という型番を使います。これは片電源アンプじゃないと駄目なので、LM358指名買い。
さいわい、LM358ってのはメジャーなアンプなので、何処のパーツ屋でも絶対、やすく売ってます。
アンプの足に、1kΩと、23.6kΩをつなげば、晴れて24.6倍の回路になります。
この増幅回路の詳細は、Wikipediaでも参照してください。「オペアンプ」「非反転増幅回路」です。
でも、50mΩ抵抗って、あんまり正確じゃないので、キチンと1000mAを出したいなら、あとでキチンと調節してやる必要があります。
調節するのやだ?難しそう?めんどい?
なら、出力を900mAくらいに設定して、誤差があっても適当に800〜1000mAの範囲で光るのでいいやーって感じで我慢すればOKです。
900mAにするなら、センス抵抗は45mV。1.23Vにするには、27.3倍。1kΩと、26.3kΩですね。丁度良い値の抵抗が売ってそう。
他に注意すべきことは、コイルの容量かな。
この回路は、出力の電流を小さくすると、すこし効率がおちるので、できれば1000mAぎりぎりで使うのがよさげ。
でもまぁ、400mA〜くらいならまっとうな効率になるので、そのくらいの範囲では調整してOK。
小出力に対応させるには、すこしコイルの容量を大きくしてください。理由は割愛。
1Aとかの大出力がいらないなら、コイルの線がすこし細くてもOK。
大出力にも対応、小出力にも対応、と欲張るなら、おとなしくでかいコイル使ってください。
回路図どおりに大体左から右に部品置いていけばOK。
裏にはいっこも部品のってないのでこんだけですよ。簡単。
本当は、スイッチが切り替わった時に、電流の流れ方が大きく変わらない配置が良い配置とされるようだけど…
ぶっちゃけようわからんので、LM2576のデータシート通りの感じで配置すればそこそこ良い感じで動くみたい。
特に理由なければこの写真の感じで配置すると配線楽でいいですよ。
とってもメジャーな初心者向け降圧コンバータIC。出力3Aまでと結構余裕がある。
周波数も低くて、多少ラフな回路引き回してもOK。
そのかわり、外付け部品(コイル、コンデンサ)にでかいものをつけなくちゃ駄目。
周辺の部品を小さくしたいならもっと周波数の高いコンバータICを使って、気をつけて配線してください。
降圧(Buck)コンバータICと名前がついて売られてる奴は大体使い方一緒なので、色々置き換えてもいいです。
そのうちAVRマイコンに置換する予定。
スイッチング電源の花形。このでかい部品に電流が溜まって、出力に電力を送り続ける。
30V、3A程度の奴ならなんでもいいです。
降圧の割合がでかい電源なら、こいつの性能が重要だけど、ここではあんまし重要じゃない。
大きさが気にならないならもう少し高めの容量や耐圧でもOK。 でかければでかいほど良し。
電流制御のため、検出電圧を増幅するためのアンプ。
マイナス電源が無くても動くとっても使いやすいアンプ。
ここでは、電流検出抵抗の50_ボルトを、コンバータICの入力である1.23Vに増幅している。
つなぐ抵抗の値を変えれば、増幅率がかわる。
電源には二次側(出力側)の15V前後をテキトーにつないでやれば動きます。GNDはGNDで。
なるべく小さい値がいいけど、小さすぎても意味なし。30mΩ〜100mΩくらいが妥当?
ただし、0.1Ωくらいってテスターで計って正確じゃないんだよね。
検出抵抗の値を正確に決めるのはやめて、「だいたい数十mΩくらいならいっかぁ」くらいの心構えで
エイヤッと0.1Ω抵抗を2本買ってきて、適当に並列接続して50mΩくらいを作る。
そこに1000mA流したらだいたい50mV前後になるので、後で調節しましょう。
検出抵抗の値をアンプで増幅するための、増幅率を決める抵抗。
一つは1kΩ、一つは0〜50kΩの可変抵抗がいいとおもう。
可変抵抗いっこで済ますと調節が超センシティブ…
後で調節するためにも、可変抵抗にしておくと便利。
可変抵抗でキャリブレーションした後固定するなら、
22〜30kΩくらいの抵抗をいくつか揃えておくと便利。
出力電流をきっちり調節したければ、ちょっと正確な抵抗かなにかがあるといいかも。
15V1Aだと15Ωなので、LEDの代わりに15Ωをつないで両端にテスターをあてます。
金属皮膜抵抗の1%品300Ωを20個くらい買って並列接続するとか。いっこ10円なので大した出費じゃないです。