常滑やきもの散歩道心得


 土管、煙突、路地、職人。
  ものつくりの町 常滑の、
   心と風景を、次代につなげるために・・

    一 常滑らしい 歴史と文化の薫る 風景を守り、伝えます。

    一 ふれあいとぬくもりを大切に、訪れる人をあたたかく迎えます。

    一 あいさつと気づかいで、散歩道をゆっくり 楽しみます。

    一 住む人、働く人、訪れる人 が、
               手をたずさえ この町を支えます。

    一 食、ひと、モノ の、常滑らしさにこだわり、
                   町の魅力を育みます。
 やきもの散歩道の心と風景を守るために、常滑やきもの散歩道心得を定めました。
 この心得は、2002年10月に開催された「常滑やきもの散歩道フェスティバル」で披露され、登り窯広場に掲示するとともに、散歩道の会会員その他有志の店舗・ギャラリー等で配布しています。
 今後、この精神を踏まえ、いっそう具体的な内容を定めた「常滑やきもの散歩道まちづくり協定」の締結をめざします。
常滑やきもの散歩道 まちづくり協定(案)

■目 的
 この協定は、「常滑やきもの散歩道」において、歴史と文化の薫る美しい景観を継承するとともに、この産業景観を生かした地域の活性化と誇りある生活の実現を図るため、商業者、工場・工房が、地域住民、来訪者等と協力し、努めるべき事柄を明らかにすることにより、豊かで実りあるまちづくりを進めることを目的とする。

■まちづくり協定の区域と考え方
(1) この協定で言う「常滑やきもの散歩道」の区域は別添の区域とする。
(2) この協定は、この協定の内容に賛同する商業者、工場・工房により締結するものであるが、主旨に賛同する地権者、地域住民及びその他の関係者との締結を含むものである。
  • 商業者とは、「常滑やきもの散歩道」内で商業店舗(小売り・卸売り・ギャラリー、事務所等)を営み、また働く者をいう。
  • 工場・工房とは、「常滑やきもの散歩道」内で工場を経営し、勤労し、又は陶芸等の工房において制作活動を行う者をいう。
  • 地権者とは、「常滑やきもの散歩道」内で土地・建物等不動産の所有権、賃貸借権、地上権等を有する者をいう。
  • 地域住民とは、「常滑やきもの散歩道」内及びその周辺に居住する者をいう。
  • その他の関係者とは、上記以外で「常滑やきもの散歩道」に関心を持つ来訪者、支援者、営業者(不動産業者・商品納入業者等)及び行政等をいう。
(3) この協定は、紳士協定的な性格のものであり、法的な根拠を持つものではないが、関係者(協定締結者以外の者も含む)はその主旨を踏まえ、誠実に対応することを期待するものである。

■まちづくりにおける商業者及び工場・工房の役割
 「常滑やきもの散歩道」の豊かで魅力的な環境が住民の暮らしとともにあることを認識し、生活と文化を結ぶ役割を積極的に果たしていく。来訪者に対して、共に「常滑やきもの散歩道」を育てる仲間であるという認識の下、持てなしの心を持ち、「常滑やきもの散歩道」を愛する心を伝えていく。

■期待する関係者との協力関係
  • 地域住民は、商業者及び工場・工房、来訪者に対して、共に「常滑やきもの散歩道」を愛する仲間として理解、協力し、まちづくりの主体としての役割を期待する。
  • 地権者は、この豊かな環境が後世に渡って継承され、いつまでも美しい景観が保たれるよう、社会的な役割を担う主体として役割を期待する。
  • 来訪者、支援者、営業者等の関係者は、まちづくりの主体が地域の商業者、工場・工房、住民、地権者等にあることを認識し、手前勝手な理想の押しつけや不道徳な行動を慎み、まちづくりに協力をする。
  • 行政には、この協定の趣旨を理解し、必要な措置と支援を講ずることを期待する。
  • 協定締結者は、上記の各関係者にそれぞれの役割を適切に果たしてもらうよう、その啓発に努める。

■常滑やきもの散歩道における基本的なルール
 この協定の目的を実現するため、次の基本的なルールを尊重し、これを守るものとする。なお、より具体的・詳細なガイドラインについては別途検討の上、これを定める。

(1) 建築物とそのまわりのしつらえ
 常滑やきもの散歩道を特徴づける重要な景観要素である、道路、建物、境界、広告物は、現在の歴史と文化の薫る美しい景観を継承し得るよう、以下の基本的な考え方に沿って、その維持・保全に努める。なお、改修・修繕や新築・増築等を行う場合は、別添のガイドラインを参考にする。
    【道路のしつらえ】(舗装、マンホール、擁壁・手すり)
    • 現状を維持する。
    【建物のしつらえ】(壁面の位置、高さ、外壁の材料、屋根の形式、屋根の材料)
    • 散歩道の歴史と文化を尊重し、周辺環境と調和したものとする。
    • 風土を理解し、周辺建物を尊重したものとする。
    • 防災に配慮したまちなみ形成に努める。
    • 特に散歩道に面する外壁・屋根については、適切な維持管理の仕組み(つくろいのガイドライン)に沿って、外観の調和の保全に努める。
    【境界のしつらえ】(門扉・塀、関守石、外構照明、アプローチ)
    • 散歩道及び周辺環境との調和を図り、潤いを増幅させるものとする。
    • 居住者や来訪者をもてなす気持ちを表すものとする。
    • 散歩道の輪郭を形成する意識をもてるものとする。
    • 常滑のやきもの素材の使用に努める。
    【広告物のしつらえ】(ルート標識、看板、自販機)
    • 上記【境界のしつらえ】として有効なものを除き、広告物は原則として禁止とする。
(2) 商工業を営む上でのルール
 商工業は、地区のコミュニティ形成、文化的な環境形成にとって、重要な役割を担う存在として、「ふれ合い、ぬくもり、こだわり」を大切にした姿勢が必要である。また、住民との共存関係こそが、この街の魅力であることを認識し、良識ある行動が求められる。
 このため、以下の事項を遵守し、住民とともに誇りある街づくりに努める。
  • 地域の行事、地域活動、治安活動に積極的な役割を果たす。
  • 地元の食材、常滑焼きの利用に工夫を凝らし、地元雇用を積極的に行う。
  • ものづくりの場も積極的に開放して、地域交流の場としていく。
  • 手づくり、芸術、本物にこだわり、日々精進を重ねる。
  • 客引き、過度な広告、派手な装飾は慎み、ぬくもりあるもてなしを提供する。
  • 既存の建物を超えるような大きなスケール、高い建物は持ち込まない。
  • 営業時間、騒音対策は周辺住民への影響を考慮する。10時以降の営業は原則行わない。
  • 来訪者へのマナー徹底を図り、良識ある行動を促す。
(3) 期待する来訪者のマナー
 「常滑やきもの散歩道」は、つくられた観光地ではなく、実際に生産が行われ、生活の場がある「生きた街」である。この生きた街のなかでは、来訪者も、少なからず約束ごとが存在する。この生きた街の魅力を来訪者とともに守っていくために、以下のマナーをお願いするものである。
  • 散歩道は、心豊かに、ゆっくり楽しむ。
  • 狭い散歩道ですれ違う際には、会釈で挨拶を交わし、道を譲り合う。
  • 屋外での食事は、周りを気遣い節度を重んじる。持ってきたゴミは持ち帰る。
  • 生活の場である家屋内に向けての写真撮影や覗き見は絶対にしない。
  • 戸外での大人数の会話、夜間飲食店から帰る際の談笑は慎む。
  • 高齢者・身体障害者を助け、子供のいたずらをたしなめる。

■その他
(1) 時代や社会経済情勢が変化していく中で、「常滑やきもの散歩道」の美しさと暮らしやすさがいつまでも継続されるよう、この協定の効果と内容も不断に評価し見直しを行っていくものとする。このため、少なくとも年1回は内容の変更について検討し、必要に応じ変更を行う。
(2) この協定の事務は「やきもの散歩道の会」が務める。
(3) この協定の効果を一層高め、目的の実現に資するため、空工場や空家を活用した商業店舗・ギャラリー・工房の開設や地域に溶け込んだ新規施設の整備、建築物や広告物等の修景等を積極的に推進・支援するとともに、この協定の啓発・周知に努める。
(4) この協定は、関係者の賛同を持って成立し、変更の場合も同様とする。