大手拓次
『藍色の蟇』

みづのほとりの姿

  
  白い階段


 
 かげは わたしの身をさらず、
 
 くさむらにうつらふ足長蜂の羽鳴のやうに、
 
 火をつくり ほのほをつくり、
 
 また うたたねのとほいしとねをつくり、
 
 やすみなくながれながれて、
 
 わたしのこころのうへに、
 
 しろいきざはしをつくる。