八木重吉
詩稿「花をかついで歌をうたわう」

 
   はつあきの野


 
 はつあきの野をあるいてゆくと
 
 なつかしげな ぬくとさである
 
 あるときは
                  な
 よろこびが暑さと化り
 
 やがてまたそのあつさがふととけいだして
 
 こころよいかなしさとなる
 
 こんなにして
 
 けふのぬくとさと遊びながらいつまでもゆく



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