八木重吉
詩稿「木と ものの音」

 
   


 
 力がめぐってくるのだ
 
 その力のことを秋と名づけてもいい
 
 力が秋をつくるといってもいい
 
 栗をたべても 秋の果のにほひをかいでも
 
 地におちた陽のひかりをみても
 
 すべておなじようなひびきにうたれる
 
 自分まで秋の一つの果物のようにすきになる



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