つるな(蔓菜)


一応、「初夏の野草」に含めましたが、一年中採集可能です。
おおむね太平洋沿岸の熱帯から温帯の海岸に分布。

砂浜の、打ち捨てられた古いボートの陰など、障害物の陰になっている場所に多く生えています。
「菜」という語尾からも想像されるように、古くから食用とされたようです。
栄養価も高く、南太平洋の島と、ニュージーランド最高峰にその名を残す、
英国人探検家「クック船長」は、「ニュージーランドのほうれんそう」と絶賛しています。

新鮮な生野菜に飢えていた船乗り達にとって、容易に現地調達でき、航海中のビタミン不足を回避できるこの草は、きっと天からの贈り物に思えたことでしょう。新たに発見した島に上陸する度にこの草を集めさせているクック船長の姿が目に浮かびます。

船乗りA(監視役):船長、島が見えます!岩だらけの無人島のようです!
クック船長:よし、島に近付くぞ。近付いたら望遠鏡で海岸をくまなく調べてみろ。
船乗りA:船長、わずかに砂浜があります。砂浜に何か生えています。
クック船長:よし、望遠鏡を俺に貸せ。おおっ、つる菜ではないか!総員、ボートで上陸し、各自ありったけのつる菜を採集した後、船に戻れ。

・・・こんな会話が船の上で交わされたかもしれません。

ただ、別に、ほうれんそう(アカザ科)と近縁な植物というわけではありません。似てもいません。葉は厚ぼったくて、触るとザラザラしてます。根っこは貧弱で、ちょっと引っ張るともげるようにして抜けてしまいます。

そして、クック船長のように期待してはいけません。何故って、おいしくありません。
生ではザラザラしていて食べられません。当然、熱を加えるわけですが、熱を加えるドロドロになります。苦くて食べられないというわけではないのですが、独特の、弱いえご味とも、苦みともつかない不快な味があります。

こんな不味い草を「ほうれんそう」言って有り難がったクック船長(英国人)の味覚が変なのか、それとも、当時の航海は、こんな草でさえありがたく食べなければならない過酷なものだったのか・・・(恐らく後者だと思いますが)。

調理法
玉子焼きや、野菜炒めの具として。また、つぶしてカレーに混ぜて。(右の写真は見た目フツウですが、つるなカレー。)

ヒント
シャキシャキ感が全くないので、お浸しにはなりません。

茹でたものをジューサーでつぶして、クッキーなどに加工すれば、多分健康的なクッキーになるものと思われますが、そこまでは試したことがありません。これで作った青汁と比較したら、ケールの青汁なんて「蜜の味」です。

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