ぼくがコミケに来る大きな理由は、やはり書き手の人と直に接することができる点だ。
もちろん、その作品が面白いから読んでいるというのはある。だからこそ、わずかであっても言葉を交わしたい。「頑張ってください」の一言が、「楽しんでます」の笑顔が、どれだけ力になるか。書き手に回った今だからもっとよくわかる。
そう、今回は自分のスペースがあるのだ。ふとしたきっかけと偶然の賜物とはいえ、機会を与えられた以上それを活かすべく、構想から取材、編集、文章追加、組版、印刷、製本から全部自分でやってみた。
全てにおいて満足行くものとは到底思えないけど、一応それなりのものは用意はした。あとはなんとかやってみよう。
直前まで知り合いの作業を手伝っていたことと、鉄道ダイヤの下調べ不足があいまって、ギリギリの入場になってしまった。しかも、この時点で体力が尽きかけているという体たらく。
体力の回復を待って、あたふたと準備をしていると開場のアナウンス。初めて館内で迎える開場だったのに感慨に浸る間も余裕もなく、ただ慌しく過ごしてしまったのが心残り。
何事も余裕がつくるのだから、今度があるのならもっと計画的にいきたい。少なくとも、今回の教訓があるのだから。
今回の頒布物は、自分の紙媒体第一作となる「My Magic」に加え、下働き程度に製作を手伝ったRuby Eyeの「Fate/IF〜体験版〜」、同じくRuby Eye製作の「マリア様がみてる〜カードゲーム〜」、そして自分も記事を書かせていただいたTEAM地雷原の「じらいげん vol.1」だったのだが…その「じらいげん」の受け渡しについて打ち合わせを全くしておらず、いざ会場で右往左往する羽目に。
最終的には、11時過ぎ頃に偶然現れた知り合いの協力とアドバイスで、宅急便搬入の集積場所(しかも時間により移動している)を突き止め入手できたものの、楽しみにしてきてくださった方にご迷惑をおかけする結果になってしまった。反省。
ひと段落ついた後、西3ホールにある更衣室に向かう。なんと今回は、衣装まで用意されていたのだ!
某氏の全面協力によって得られた今回のコスチュームは"Fate/stay night"の男子制服。特に主人公である衛宮士郎をイメージして…とはいいつつも、やったことはといえば適当に髪をカラーリングしておいて(しかも日常で支障のない程度)制服を着るだけ。
特に難しいこともなかったのだけど、やっぱり抵抗というか、思い切りは必要だったと思う。でも、やるならとことんやらないと、と思って、できるだけイメージに近づけるようにしてみた。そして、行動は毅然と、できるだけ格好良く。今この服を着ている限りでは、自分は衛宮士郎として見られるのだから。
気を張っていたおかげか、この一日は残り体力の割には疲れを感じずに過ごせたと思う。
その後、12:00ころまで店番など。西1ホールと西2ホールを挟む通路の目の前だったこともあり、結構多くの人が通りかかってくれた。嫌悪感は与えないように、でもアピールはできるように挨拶してみたり。まあ、本の内容からいってそれほど万人に訴えかけるものではないとは思うけど、ふと立ち止まって手にとってくれたら、予定にはなかったけどなんか買っちゃった、みたいにしてくれたら良いなと思っていた。
でも、自分を鑑みてもそれはなかなかないこと…。それには、もっと魅力ある紙面作りが必要なのだろう。
それにしても、手にとって読んでいただいている間のドキドキ感はなかなかのものだ。
東館へ買い物へ出ていた知り合いが戻ってきてくれたので、店番をお任せして入れ替わりで東館へ。
今回は自分のスペースがある関係であまり多くを回ることはできなかったが、それだけにひとつひとつのサークルが印象に残った。
最初にも書いたけど、ただ本を買ってきてもらうだけじゃあんまり意味がない。せっかく来たのだし、買うときも笑顔で。
そうさせるだけの魅力が訪れたサークルの作家さんにはある。上に挙げた2つはS級、他もお勧め。
帰り間際に、Ruby Eyeつながりでアート・プリズムさんの売り子など。Fateスペースではあるものの、かえってその服装のインパクトが減ってたような感じ。難しい。
西館に戻ると、再び店番。でも知り合いも多くやってきて手が空きだしたので、着替えがてら屋上展示場へ行ってみる。
普段着に着替える前に、今まで足を踏み入れたこともなかったコスプレ広場へ。
ここは夢の広場。ここにいて、コスチュームを変えている間、違う自分でいられる。
どんな世界にも技術があって、より高みを目指そうとする人がいる。自分は成り行きでもらい物を着ているだけだったけど、ここにはもっと凄い人たちがいっぱいいた。もちろん、ネタに走っている人もいっぱいいた(笑)。
だから何だ、というのも確かだ。でも、少なくともぼくは凄いと思った。
コスプレをする人の考えなど想像もしなかったけど、今なら少し分かる気がする。
この服を着ている間、ぼくは頑張っていられた。自分の考えはどうあれ、衛宮士郎というキャラのイメージを持っている人に対して、それを壊すようなことをしてはいけないと、居住まいを正していられた。
普段の服に戻ると、なんだか新鮮に思えた。そして、これからはまた現実に帰るのだという切り替えがついた。
夢の時間に、しばしのお別れ。現実よ、こんにちは。
その後、バタバタと片付けやらをしながら16時、終了の拍手を迎える。
最後まで慌しくて、終わった時にはすっかり疲労困憊という風情だったけど、やっぱり充実感はあった。
惜しむらくは、撤収を手伝う時間も体力もなかったこと。今後があるとすれば、最後まで責任を持てるだけの体力と気力を残せるよう、計画的に行動していきたいと思う。
ここは夢の集まる場所。たった6時間の、濃密な永遠。
そこを守るために、日常を頑張っていかなきゃならないなと思う。
ありがとうございました。
(あとで追記する…かも?)
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Written by yossy.