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吾は官軍我が敵は
天地容れざる朝敵ぞ 敵の大将たる者は 古今無双の英雄で これに従うつわものは
共に慄悍(ひょうかん)決死の士 鬼神に恥じぬ勇あるも 天の許さぬ反逆を 起こせし者は昔より 栄えしためし有らざるぞ
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敵の亡ぶるそれ迄は
進めや進め諸共に 玉散る剣(つるぎ)抜きつれて 死する覚悟で進むべし
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皇国(みくに)の風(ふう)ともののふは
その身を護る魂の 維新このかた廃れたる 日本刀(やまとがたな)の今更に また世に出ずる身のほまれ
敵も味方も諸共に 刃(やいば)の下に死ぬべきぞ 大和魂あるものの 死すべき時は今なるぞ 人に後(おく)れて恥かくな
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前を望めば剣なり
右も左もみな剣 剣の山に登らんは 未来のことと聞きつるに この世において目(ま)のあたり
剣の山に登らんは 我が身のなせる罪業(ざいごう)を 滅ぼすために非(あら)ずして 賊を征伐するがため 剣の山もなんのその
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剣の光ひらめくは
雲間に見ゆる稲妻か 四方(よも)に打ち出す砲声は 天にとどろく雷(いかずち)か 敵の刃に伏す者や
弾に砕けて玉の緒の 絶えて果敢(はか)なく失(う)する身の 屍(かばね)は積みて山をなし その血は流れて川をなす 死地に入るのも君のため
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弾丸雨飛(うひ)の間にも
二つなき身を惜しまずに 進む我が身は野嵐に 吹かれて消ゆる白露の 果敢(はか)なき最期を遂ぐるとも
忠義のために死する身の 死して甲斐あるものなれば 死ぬるも更にうらみなし われと思わん人たちは 一歩もあとへ引くなかれ
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吾今ここに死なん身は
国のためなり君のため 捨つべきものは命なり たとえ屍は朽ちるとも 忠義のために死する身の
名は芳しく後の世に 永く伝えて残るらん 武士と生まれし甲斐もなく 義のなき犬と言わるるな 卑怯者とな謗(そし)られそ
明治十八年七月二日 於日比谷鹿鳴館発表
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