今回の秋葉原調査では、携帯カメラを用いてだが何枚かそれらしい写真を撮像してくることができた。いずれも秋葉原百景のごくごく断片的なものをとったものである。今回の写真で撮影された景色・人といったものは秋葉原ではあまり珍しいものではなく、ごくごくポピュラーにみられるものと私は信じているし、実際私はこれらの景色を見かける事に慣れている。

 正直、これらの写真は秋葉原に行ったことのある人にとっては陳腐なものに過ぎないことだろう。だが、秋葉原に行ったことの無い人に対してはちょっとした参考資料になるのではないかと思い、掲載した。

 以下の写真をご覧になって、色々とご高察頂きたい。


 ※プライバシー他の理由により、画像には修正がかかっています。



【写真1】


 典型的なnerd fassionである。黒ジーンズ(デニムという表現は不適切と思う)、黒シャツ、リュックに眼鏡、坊主頭。足下はちょっと確認しづらいが、黒のスニーカーである。果たしてこれらの格好は(例えば2ちゃんのファッション板あたりで叩かれる事の多い)アニエスべーによって構成されたものだろうか?おそらくそうではあるまい。仮にそうだとしたら、そこそこ高価な服に対して余程素晴らしい運用ミスをしていると考えざるを得ない。まあ、多分違うだろう。

 彼の後ろにもリュックを背負った髪を染めてない男性が見える。こちらはより古典的なnerd fssion(チェックのシャツに紺ジーンズ)を身につけている。



【写真2】


 横断歩道を待つ男性客をまとめ撮りしたもの。この写真を見ると、髪にカラーを入れている者はおろか、脱色している者すらみられない。そしてここに映っている全員が、ファッションに対してポジティブな効果を狙っている形跡が全くみられない点に注目(左端の男性だけは暖色系の服を着てはいるが、それが何かの効果を狙ったものとは考えにくい)

 寒色系が多く、デニムシャツが目立つ。そして、リュック。このような男性だけが集まった集団は、新宿や銀座では目撃出来ない



【写真3】


 或るギャルゲー専門店前で撮影した、店頭デモプレイに群がる男性客。この写真では、かつてはあまりオタクが選択することの無かったシャツを見かけることが出来る(中央の二人)。しかし、これらの服装は現在では地方の安い量販店でもゲットすることが可能となっている商品であり、そこそこ値の張る店で購入されたものなのかどうかは不明である(写真では分かり難いが、私が目視した所では安く手には入りそうなデザインと造りだった。面白さや遊びが感じられなかった)。また、仮にこれらの服装がそこそこ値の張るものだったとて、ご覧の通りの髪型と姿勢(猫背多い!)では台無しである。どうあれ彼らがファッションに対する投資に不熱心であることには疑問の余地があまり無い。



【写真4】


 この写真でも、誰もが髪にカラーを入れていないことに気づく。また、この写真の中にも暖色系の服装が全くみられない。これだけ沢山の男性がいるにも関わらず、である。中央右の男性の格好は、比較的古典的なnerd fassionのひとつ・タックインしたシャツ&綿パンである。秋葉原ではまだまだこのような格好の二十代後半男性をみることができる。



【写真5】


 ところ変わって、今度はとある美少女ゲーム販売店内のワンスナップである。リュックの保有率が非常に高いことには相変わらず驚かされる。中央右の黒い服装の男性は、カラーが入ってない&もみあげ延びっぱなし&色白眼鏡→にも関わらずちょっとだけ後ろで髪を束ねているという、COMME CA DU NERD や脱オタクファッションガイドでも既出の典型的なオタク的長髪を呈している。このような格好が女性受けする事は2004年現在(いや、2000年当時も)まずあり得ないのだが、秋葉原ではこのような後ろ髪の男性を未だに見かける事が出来る。あ、念のため付け加えておくと、彼は「黒のカラー」を入れている訳でもないので。



【写真6】


 今度は、有るアダルト系オタクショップ内にて撮像を敢行したものである。中央の男性は、青色のデニムシャツ(かなり洗濯したと類推)・キャップ・紺ジーンズ・色白・眼鏡という組み合わせであり、おそらくこのエロ同人誌店以外の場所で遭遇してもオタクにみえる事だろうそして何より、この姿勢!侮蔑されやすいようなオタク男性の全部ではないがかなりの割合は、このようなせむし男が多い。

 ちなみに私も「姿勢制御スキル」を停止させると猫背に戻ってしまう。私もやはりオタクなのである。



【写真7】


 とあるアダルト系オタク商品売場を撮像し、ぼかしたもの。このように、現在でも秋葉原では多種多彩なエロ同人誌・そっち系グッズが販売されている。美少女ゲームや男性向けエロ漫画の元気が無いのは事実である一方で、それでもそれなりの需要が現在も残っていることが窺える。



【写真8】


 さっきの写真とは別の、同人誌ショップにおける光景。男達はみな無言で、熱心に品定めを続けている。鬼気迫るアドレナリンの為か、性欲の為か、はたまたごく一部のオタクが放つ異臭のせいか、店内の空気は澱んでいて息苦しかった



【写真9】


 スーパーロボット大戦シリーズの店頭デモに群がる男性客。驚くべきことに、暖色系の服は全くみられず、髪に何らかのカラーを入れている者も全くみられない。以前の秋葉原に比べると色褪せたジーンズやGジャン(デニムジャケットとは呼ばない)・綿パンが減少していることがわかる。しかし一方で、これらの服装はお世辞にも積極的なファッションを志向しているとは言い難く、またコスト的にも非常に安価である可能性が高い。確かに古典的なnerd fassionはこの中にはみられないが、かと言って服飾に十分なコストと注意を払っている男性が増えているかというとそうでもない。表面的には幾らかの服装の変化こそあれ、結局のところ『ファッションに時間とお金と注意を払っていない』というセントラルドグマ自体は変化していないのだ。

 →本論の緒言・方法・結果に戻る      →本論の考察・まとめに戻る