・そして脱オタへ・・・

 こうと決めたら行動は早い方でしたので、とにかく痩せなきゃ話になりません。運動と食事制限をしまくり120kgあった体重を69kgまで落とし(今現在は78kgで落ち着いています)オタ時代から行かなかった美容院へ!もともとのお洒落のノウハウはあったので雑誌を買いながらリハビリしつつどうにかこうにか人前に出れるようにレベルUPした時にはハタチを過ぎて半年程たっていました・・・。

 流石にオタ時代の仲間に会いに行ったらびびられましたね。体重は半分近くになってるんですから・・・。もともと誘われて何度かコスプレしてたんですが、デブだったので全然映えなかったんですね。でも、痩せ記念でなんとなくまた始めたんですよ。オタ仲間とも普通に付き合っていきたかったんで。

 でもそれだけに留まらずに仕事に趣味に色々やりました。身体が軽くなったんで外に出ることが楽しかったんですね。父と同じ美容関係には進みませんでしたが、友達の紹介で雑貨屋の店員をしつつ歌を習って、料理にハマって、コスプレしてファッションにハマって、サッカーにハマって・・・。色々な人とも友達になれたり付き合ったりしました。

 ただ、そうなるとまた新たな悲劇が生まれてくるものでありまして・・・。






 ・オタ仲間との確執、自分の道は?

 一番初めにも書きましたが、さばさばした性格の母親似なので、楽しくないと物事が出来ないんですね。だからこそファッションの再びハマれたのは嬉しかったし、こればかりは転地天命にかけて言いますが他のオタクを蔑みたくて着飾ってる訳じゃない!自分が楽しいからやってるんだしオタ仲間以外にも付き合いがあるんです!

 そうは言ってもどうしても出てくるのがオタク仲間との確執なんですね・・・。

 絶対に正面から面と向かっては言ってこないんです。酒の席とかで凄くチビチビと絡んでくる。「大切なのは外見じゃない、中身だ」大抵、そういう内容なんです。それだけならばいいんですが陰で「ブランド狂い野郎」とか言われてたりしてたんですね・・・。いちいち聞かれなければ自分の服に関しても説明なんかしないし、ましてや値札つけて見せびらかしてる訳じゃない。古着だってMIXしてるんですがイメージのみでそんな言われ方されてしまうんです。しかも、普通に外見に気を使ってるだけでオタ仲間とは見なされず即排除とかもあるし。

 ただ、こちらにも非がない訳じゃなくてオタ仲間にどうすればもてるのか?という内容の質問をされたことがあるんですが結構、キツいアドバイスになってしまったり・・・。

 それに、脱オタする側にも、脱オタ成功する人よりも明らかにオタクを蔑みたくてやっている人が多い。ようするにお洒落を「楽しめなくて」ただの服オタクになってオタク叩きしてるだけの人が増えてきたと思うんです。そういう人ってなんとなく野暮ったいから見る人が見ると分かってしまうんですよ。楽しんでやってないから辛い顔してるし必ず何処かに一箇所は突っ込み所があるんです。着こなし、髪型、靴、メイク・・・。

 今、オタクの世界は過渡期なんだと思います。まだまだこれから変わっていくと思う。自分が何処までオタク世界と関わるのか分かりませんが関わるんなら楽しみたい!それに8年近くオタクやってて本当に仲良くなれた人達もいるし数は少ないですがげんしけんの高坂みたいなハイブリッドなオタク友達もいます。だからなんだかんだ言っても楽しめるも思うんです!

 脱オタする人へ最後に忠告したいんですが持って生まれた性質でファッションを楽しめる人と楽しめない人がいるんですね。ファッションなんて所詮楽しみの一つです。だから怨念剥き出しの「義務」なってしまうと本当の意味での「脱オタ」は成功しないと思いますよ。世界人類が全員お洒落でないとあかんなんてことはないし、お洒落=即モテなんていう程世の中甘くないです。お洒落でなくても、容姿が悪くてもモテる人なんてオタク以外の人間のなかにもいっぱいいますよ。自分がファッションを楽しめそうもないと思ったらオタクのままでいるのも悪くないんではないでしょうか?


 (Cさんの文章は、以上です)





 Cさん、貴重な経験談ありがとうございました。

 シロクマ注:

 流石におしゃれのノウハウを知っている人は違います。これだけのダイエットを達成することは通常は困難であり、むしろ危険ですらあります。これはこれで成功ですが、純医学的にはもうちょっとゆったりとしたペースのダイエットのほうが体に優しいことを指摘しておきます。おしゃれの復興も早い!若い頃からある程度の造詣があり、家庭環境的にも恵まれていたCさんだけあって、相当のスピードです。ここまでの速度で達成する人はあまりいません!これにはかなり驚かされました。ノウハウの有無がこれほどの差を生むとは。Cさんはおそらく服飾的なセンスを幼少期のうちから少しづつ感得していたのでしょうね。後発組の脱オタがいかにスタート地点で出遅れているかを痛感させられるエピソードです。

 ところで、Cさんは脱オタの人達について一つの鋭い提言を投げかけます。「楽しんでいない者に真の脱オタは無い」、と。審美的にあるレベルを超えるには、消極的に脱nerd fassionするのではなく、積極的に服飾を楽しむ気持ちが必要だという指摘でしょうか。これは、(私の知る限り、ですが)脱オタしたけど上手くいかなかったという人から決して聞くことがない発言である一方、脱オタ経験に満足を覚えている人が一度は必ず口にする発言です。服飾レベルにおける脱オタとは、消極的なポリシーのものではなく積極的なポリシーでなければならないという意見は、Cさんのケースにおいても肯定されています。

 しかし、Cさんの場合も脱オタに伴って副作用が発生していますね。つまり周囲のオタク仲間との確執です。周囲のオタク達のルサンチマンの為せる業なのか何なのか、様々の形で周囲のオタク達から次第に疎まれていきました。オタク達ともやっていきたい、オタク世界の楽しみも享受したい、そういう気持ちがあるにも関わらず、Cさんへのオタク達の風当たりには厳しくなっています。例えば私や症例Bさんなんかは、脱オタという試みにエネルギーを投下している時には、オタク達に嫌悪されるというよりは、オタク達を嫌悪する病気に一時的に罹患していますCさんからの報告では、オタク嫌悪病については記載がみられず、代わりにオタク達からのそれとない排他が記載されています。この点がCさんのケースの特殊性を一層際だたせており、特異な症例として注目するに値する部分ではないかと私は考えます。症例Aさんの場合でも、オタクと上手くいかなくなったのはオタク趣味話題が合致しなかったからというのが専らの理由だったそうで、服飾の発展を非難されたり外見と中身の問題を指摘されたとは聞いていません。目下のところ、Cさん以外のケースでこのような転倒が発生しているものを私はまだ知りません。今後の症例検討が一層期待されるところです。

 総括すると、Cさんのケースは見た目や異性関係の問題・葛藤が少なく、代わりに同性から(オタク・非オタクの両サイドにおいて)非難される経験があったという点が極めて特徴的です。それも、審美的問題をきちんとクリアーしたうえで問題が発生しているのです。脱オタを志す人の多くは、審美的問題や異性コンプレックスに満ち満ちた状態からスタートし、苦しんでいるものです。そのコンプレックスを服飾の整備やオタク以外の人々との出会いを通して解消していく事が多いように見受けられますが、Cさんの歩んだ軌跡はこういう脱オタプロセスとはかなり異なっています。解決すべき課題も、葛藤によって生じた症候も、包含していたコンプレックスも、一般的な脱オタのプロセスとは異なっているCさんの症例は、審美的問題とコンプレックスが徹底的にクリアーされていても問題が生じうるという可能性を示唆してくれます。もしかするとCさんの辿った特殊なプロセスは、既存の脱オタという言葉をあてがうよりはむしろ、適応上のその他の問題解決プロセスとして別個に取り扱ったほうが良いのかもしれません。それでもこの症例は、単にストーリーだけを追いかけて“珍しい脱オタストーリーだね”という一言で括ってしまっては勿体ない何かを孕んでいるように思えるのです。


 ※本報告は、Cさんのご厚意により、掲載させて頂きました。今後、Cさんの御意向によっては、予告なく変更・削除される場合があります。ご了承下さい。