宮崎某事件以降、オタクに対する負のステロタイプの中にはセクシャリティに関連した幾つかの特徴が含まれていたと思う。オタクが好んで消費する“萌え”の著しい偏倚(幼女嗜好など)や、オタクが異性に好まれない&異性を前にしたオタクの振る舞いのまずさ等々は、世の女性達やマスコミなどから手厳しく非難されたり嘲笑される事が多く、オタクバッシングの主要な内容のひとつとなっている。だが、オタク達のセクシャリティにまつわる行動・消費に偏りがあるのは間違いの無い事実で、少なくとも男性のオタク達に関してはこの傾向は顕著である※1。このテキストは、そんな男性オタク達のセクシャリティの特徴や傾向について今の私が知り得る限りのことを出来るだけ考えてみようという無茶な試みである。一つのテキストにするとダラダラ長くなってしまうかおおざっぱなものになりそうなので、幾つかのテーマ別にテキスト化していこうと思う。
なおこのテキストでは、男性オタクを描写すると言っても、オタク趣味を持った全男性に該当するような絶対法則を書こうなんて大それた事は目論まない。元々、現在流通している『オタクという言葉』はカバーしている範囲が広すぎてまちまちなので、“今回対象とするオタクとはここからからここまでです”と指定しておく必要があろう。私が今回の描写の対象するのは、以下のような幾つかの特徴を持ったオタクとなる。もちろん、以下の特徴に合致したオタクというのは、秋葉原やコミケ男性向け日において最も大きな割合を占めている一群だとあたりをつけて選んだものなので、ここに含まれないで、なおかつオタクと呼ばれうる男性は相対的には少ないとは思ってはいるけれど。
今回ターゲットとする男性オタク層は、最低限以下のような特徴を持つものを想定している。
1.必ずしもギャルゲー・エロゲーや女の子アニメを主専攻していないにせよ、 二次元女性キャラへの接触に抵抗がなく、多かれ少なかれ二次元美少女 コンテンツに関わりを持っている男性。ぞんざいに言えば、アニメ絵の異性 キャラに(;´Д`)ハアハアしうる男性全員(斉藤環先生による“二次元で抜けるか 否か”という識別法に近い)。なお、今回は都合によりアイドルオタは議論に 含めない。アイドルオタは、別件として取り扱いたい。 2.実物の異性とのコミュニケーションが不足している状態で、なおかつ異性 とのコミュニケーションに苦手意識やコンプレックスを持っている男性。 3.理想的な異性との関わりかたや異性との接触に関する願望を、多かれ 少なかれ持っている男性。この際、対象となる異性が身の回りにいる実際 の女性なのか、そうでない女性なのか、二次元の女性なのかは問わない。 |
以上のような男性オタクを今回のターゲットと想定する。この条件に該当するのは筋金入りのギャルゲーオタやアニオタだけではなく、軍事専攻・アーケードゲーマー・ネトゲ専攻・鉄道など、本当に様々のジャンルの専門オタク達が、兼業または潜在的傾向として上記の特徴を満たしている。隠しても無駄だ!例外的な人もそれなりにいるはいる※2が、ギャルゲーを専攻しているわけでないけれどバーチャル美少女がそれなりに好きな男性や、実際に“二次元で抜けちゃう”男性オタクがかなり潜んでいる事を、私は知っている(アイドル萌えも含めたら、一層凄い数に)。彼ら自身にとって、異性とは何か、萌えとは何か、セクシャリティの現状はどうか、私なりに考えていきたい。