告知

さわやかな風がひとすじ
暑すぎない夏の夕暮れ
しかし
気持ちは嘘を感じる
草の上に腰を下ろし
色を落とし始めた緑の中
鶯とアブラゼミの声に
赤トンボが群れる
季節を無視した胡散臭さ

自然界を操作し始めた
地上第一の生物が
自らの傲慢を省みた時
種族としての永遠を
疑う日が来た

 『はしゃげ はしゃげ
  今のうちだ
  お前たちがいなくても
  私は何も困らない
  そうやって
  いくつもの種が
  滅んだんだよ』

地面が揺れ海が踊るたびに
そんな嘲笑を聴く

モノクロの夕暮れの中
それだけが色を持つもののように
真っ赤に滲む太陽が
終焉を告知しているようだ


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