編隊
雲が流れる先に 白く光る編隊 うねる波 くすんだ海の上を 風に逆らって飛ぶ 白鳥の群れ
車からそれを見れば 輝く羽の美しさに ため息をつく
だが彼らにすれば 優雅であろう筈もなく 目的地への遙かな距離を 何を背負って急ぐのか
生きる 季節に追われ 食に追われ 鳥も人も変わりはしない 何かしら苦しみを抱え それでもひたむき 前を向く
雲と海の合間を編隊は 何度か高度を変え 見送る私の視界から やがて消えて行った