白昼夢

土の上に生まれた私は
鉄骨の中の野菜を憎む
どこの町の物か
どこの国の物か
彼らの生まれは土が違う

コンクリートの箱の中で
動力音と
機械油の臭いの中で
何かの部品を作っている
一日中ノルマに追われ
日の光でない
人工照明の中で
組み立てられゆく金属塊

感情と関わらない仕事中
心は春の芽吹きを想う
畑の畝に双葉
あちこち小さいが元気に

暑い盛りの草取り
緑の濃さが逃げぬよう
色鮮やかな山を背に
泥の付いた大根を引く
白菜に潜んだミミズは
食べるには及ばない

外の天気も分からぬ
作業性だけの適温に
凍てついた朝の
窓に咲く氷花を想う
その時一瞬耳元を
木枯らしが掠めていった
そんな気がした白昼夢

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