風の強い朝

風の強い朝
青年は畠に出かけた
父や母や祖父や祖母や
たくさんの目から逃れたくて

風の強い朝
作物は雨を待っていた
肥料でもなく
日の光でもなく
まして乾いた風ではなく

空は低い雲を
急がせている
なまぬるい風は
前から横から
青年を大きく揺さぶる

風の強い朝
青年は何かを待っていた
頭で理解できても
動かない心を
変えてくれる何か
外界を受け入れ
瑞々しく新たに
羽ばたけるような
きっかけになる何かを

風の強い朝
雨は
そこまで来ていた
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