#46「壮絶バラオムの死」

昭和六十三年八月二十八日放送 脚本・杉村升 監督・小西通雄
登場怪人・クジラ怪人、コウモリ怪人

粗筋

 太陽に大黒点出現、天変地異を惹起する。遂に創世王は両世紀王に肉声で早期対決を促す。
 ダロムの語るゴルゴム帝国構想に対してバラオムが異議を唱える。その会話を盗み聞きしていたのはクジラ怪人。クジラ怪人はバラオムの命令で光太郎をおびき出し、光太郎は変身してこれと戦う。その頃、コウモリ怪人はクジラ怪人の謀反の計画をダロムに注進。
 BLACKとクジラ怪人の交戦中にバラオム参戦、BLACKを追い詰め、クジラ怪人に押さえ付けさせておいてクジラ怪人ごと串刺しにしようとする。ここでクジラ怪人本当に謀反、粘液でバラオムの動きを封じ、BLACKはこれを斃す。
 創世王はシャドームーンを召喚して早期の打倒BLACKを命じる。クジラ怪人は光太郎に送られて海に帰って行く。

暗黒大公曰く

 出演者の一人、原田昌樹は最近のウルトラシリーズの監督の一人と同姓同名なのだが、別人か否かは知らず。そもそも、今回のどの役を演じた人なのかも知らぬ。
 オープニングに「創世王の声 渡部猛」が加わる。「キカイダー01」ワルダーや「ギンガマン」破王バットバス、「ドラえもん」先代・神成氏の声でもある。
 冒頭、「ウンギャー」と叫んで一人稽古に励むバラオムの場面が好きだ。並々ならぬ復讐への意欲が感じられる。
 光太郎の誕生日祝賀、杏子が光太郎と信彦の誕生日が同一であることを口にして克美に制止される。「全ては一年前の僕と信彦の誕生日から始まったんだ」何とも辛い場面だ。三人ともそれぞれ辛いのだ。
 今回ダロムが語ったゴルゴム帝国構想こそゴルゴムの矛盾体質。身内たる海の怪人達の屍の上に帝国を築いてどうしようというのか、人類を滅ぼした後で人類の所業の継続をして何か意味があるのか。海の怪人達を全く考慮していない、怪人そのものを軽視する構想には非常に失望した。ダロム自身も三葉虫、海洋生物の大怪人であろう。ビシュムは「愛しい怪人達」と言っていたのに、彼女存命ならばどんな反応をしただろうか。
 山中に出現するクジラ怪人、これが本当の山鯨か? サンショウウオ怪人に続いてこれも雑な造形。コウモリ怪人の言う「クジラ怪人の仲間」とは何者だろう、イルカ怪人かシャチ怪人辺りか。
 冒頭からビシュムの恨み、復讐を何度も口にするバラオム。そして戦場でも「見たかビシュム、俺は仮面ライダーに勝ったのだ」もう完全に復讐鬼と化している。何かビシュムに個人的に思うところでもあったのだろうか。尚、小学館「超全集」には、バラオムは牙を外して武器にするとあるが、実際には外していない。牙とは別に、牙状の武器を顔から取り出したような格好だ。「貴様の力はその程度か」ゴルゴムの大幹部はこの台詞が好きなようだ。
 クジラ怪人の前にもカニ怪人、ベニザケ怪人の泡にも苦しめられて、BLACKは海洋怪人の粘液攻撃が苦手か。
 ライダーキックに光線で応じるバラオム、どこかで似た場面を見たと思ったらビデオ「ウルトラマンVS仮面ライダー」の「スーパーバトル」の冒頭、スペシウム光線とライダーキックの激突。「仮面ライダー、これで勝ったと思うな、俺が斃されてもシャドームーン様がおられる、貴様等問題ではない、シャドームーン様! シャドームーン様!」そう叫びながら放つ光線は崖の上のBLACKには届かない。武闘派大怪人の最期は大地震を発生させる、ビシュムの時はそんな様子も無かったから、ビシュムよりもバラオムの存在の方が大きかったのだろうか。天変地異に逃げ惑う街の人々の様子にこの物語の壮大さを感じる。ゴルゴム戦争とは単に一暗黒結社の後継者争いではなく、全地球規模の戦いなのだ。
 二人の大怪人亡き後、コウモリ怪人が準大怪人的な働きを見せ始める。
 ここまでで二人の大怪人を斃したものの、ビシュムの致命傷はシャドームーンの光線であり、今回のバラオム戦死はクジラ怪人の謀反、BLACKへの助力によるもの。剣聖とあわせ、まだ単独ではゴルゴム大幹部を斃していないBLACK。
 今回の冒頭では両世紀王に早期対決を促しておいてラスト近くではシャドームーンのみに奮起を期待する創世王。本当に二人だけで対決させる気があるのか、創世王には。
 ラストで大衆の面前に出現して帝国建設を宣言するシャドームーン。彼に対して「お兄ちゃん」「信彦さん」等と呼びかけて大衆に怪しまれないか。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド 脚本 杉村 升 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 秋月杏子  井上明美 紀田克美  田口あゆみ 黒沢 瞳 原田昌樹 坂田佳枝 神田真里 岡元次郎 北村隆幸 飯田則子 末永貴久 岩田時男 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 政宗一成 創世王の声 渡部 猛 ダロムの声 飯塚昭三 大怪人ダロム  山本貴浩 大怪人バラオム  高橋利道 監督  小西通雄

エンディング

撮 影 工藤矩雄 照 明 渡辺 康 美 術 稲野 実 造 型 前澤 範 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 梶川まさや 助監督 鎌田 浩 計 測 山本英夫 記 録 富田幸子 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 神尾悦郎 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画 イラスト 野口 竜 プロデューサー補 高寺成紀 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   S SUZUKI
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
霧の廃墟M43
バラオム猛稽古M11胸騒ぎ
ビシュムの最期V7aT5邪悪の神殿
バラオムの怒りM34おぞましき姿
副題M48B別T2サブタイトル
大黒点出現V9‐2
全ての始まりM49
バッタの大群MD
掌中のバッタV1弦のみT2
バラオム出陣M22大いなる悪の力
光太郎対クジラ怪人M21バトルホッパー
BLACK対クジラ怪人「ブラックホール・メッセージ」
もう一人の敵M41チャンス到来
空を切る爪「仮面ライダーBLACK〜星のララバイ〜」
インストゥルメンタル
バラオム参戦「BLACK ACTION」
串刺しM24策謀
逆転「仮面ライダーBLACK」
バラオムの最期V7aT5邪悪の神殿
光太郎とクジラ怪人M49
シャドームーンの挑発M13
燃える空「ブラックホール・メッセージ」
インストゥルメンタル


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