『右朝』
右朝夫婦のハツとナンは文鳥らしいと言えば文鳥らしい性格を持つ武闘派文鳥だ。
中雀王朝右朝の初代王のハツは、雛から育てたにも拘らず、人間に対して警戒心を解かない文鳥になってしまった。
だからと言ってまったく人間に近づかないかというとそんな事は無い。
左朝のハクとトンが、飼主の肩や腕などの体の上で遊んでいると、彼らを追っ払ったりする。とても独占欲が強いようだ。
追っ払った後は、満足するのか他のところへ遊びに行ったりする。
このハツはマッチョ文鳥で体重は30gになった事があるくらいの偉丈夫文鳥だ。多分、喧嘩も一番強いと思われる。
他の文鳥との取っ組合いの喧嘩は、まだ見た事は無いが、威嚇してちょっと突付くだけで他の文鳥は逃げてしまうので、
我が家では最強文鳥なのだろう。(しかし、我が世の春がいつまでも続かないのがこの世の常だ。世継との争いが今から楽しみだ)
このハツの容姿は、桜文鳥というより、綿帽子文鳥という感じの文鳥の羽色をしている。
頭は虎縞模様の黒白で、胸には大きく丸いぼかしがある。桜の花びらとは到底言えないぼかしで、牛乳を零したみたいなシミみたいに見える。
背中はというと綺麗な灰色をしている。が、惜しい事に両翼の外側の羽2枚が白くなっている。
それはそれでバランスが取れていて私は良いと思っている。
ハツの性格は、人間のタイプなら、寂しがり屋のがき大将、といった感じだ。
そのハツの嫁になる右朝の初代王后ナンは、体重が27g位もあり、我が家では二番目に重い。
このナンは少し奇妙な顔を持っている。普通の文鳥より、頭がひしゃげているのだ。
その上、頬が膨らんでいるので目が窪んで奥目の様にに見える。とても奇妙な宇宙人、いや宇宙鳥的顔立ちをしている。
私は密かにテペト文鳥と名付けている(テペト星人=ウルトラセブン第41話に登場する河童をモデルにした宇宙人)。
その他の胸のぼかし等は優良の部類に入ると思うし、全体的には、すらっとしている。しかし、性格が良いとは思えない。
人間のタイプで言うと、強者の威光を笠に着て、一般庶民に威張り散らす小悪党。
その上、図太いのおまけが付くといった感じだ(これじゃ、田中真紀子?)。
そして大食漢というより、食い意地が張っているし、亭主のハツを夫というより、親分といった感じで心服している。
いや心服より崇拝の方が合っているかもしれない。親分ハツが気に入ってないハクとトンに対して、親分以上に敵愾心を持っている。
まるで「私の親分の近くをうろつくんじゃないわよ」と威嚇する。三下チンピラみたいなやつだ。
初代4羽の中で一番最後に入居したナンが人間に対して警戒心が一番強い。
それでも、他の文鳥達が人間に止ったりするのを見て、時々真似して止まるが、その時はいつもビクビク、オドオドしている。
その姿を私の嫁様に見られては、いつも失笑を買っている。
そんな夫婦だが、同居最初の頃に奇怪な事件が発生した。
それはナンがハツに後頭部の羽毛を抜かれて禿げるという出来事だった。
生活習慣に違いが有った為なのか、それとも、今まで1羽で優雅に暮らしていたのを邪魔された腹いせなのか、
直接の理由はわからないが、多分、不興を買ったのは間違いないだろう。実に立派な禿げができてしまった。
これじゃハツは、domestic violence亭主だ。ところが、このテペト文鳥は顔も妙だが、性格も妙らしい。
図太いというか鈍いナンは一向にこの事に平気なようで、大好きな旦那様(chu!)というより、「親分!親分!」と慕って側を離れない。
禿げがこのまま広がるなら、強制別居も止む無しと考え始めたが、
その後、それ以上禿げが広がる事が無くなったので、強制別居は中止となった。
そしてこの夫婦のお気に入りの場所は、何故かインコの籠の上だった。
ハツはインコが嫌いなくせにインコの籠の上で遊んでいる。
いつも文鳥より先にインコを放鳥するが、その時、インコが自分達の籠の上で遊んだ事に対する意趣返しなのかもしれない。
ところが最近では、お気に入りの場所が変わったようで、パソコンのモニターの上で仲良く寛いでいる。
モニターが暖かいからなのだろう居眠りまで仕出す始末だ。
私としては、モニターの天板が糞だらけになってしまい、ましてや掃除がやりにくい場所なので勘弁して欲しいところなのだけど・・・。
この他に手が掛かるのが、この夫婦がカメラが嫌いな事だ。カメラを向けると怖いのだろう、逃げ回る。
鈍臭くのろまな夫婦のハク&トンはカメラを向けても一向に平気なのに、この武闘派夫婦は嫌がって逃げてしまう。
お陰で良い写真として残るのは、ハクとトンばかりで、ピンぼけやブレた写真ばかりになってしまうのがこの夫婦の写真だ。
少しは慣れてもらいたい。本当にデジカメで良かったとツクヅク思う。
この仲の良い夫婦はいつもくっ付いている、ナンがいつもくっ付いているという見方もあるが・・・。
秋の繁殖シーズンに入ったら、ちょっと人間に距離を取るこの夫婦の方が世継を作る事が、上手かも知れないと期待してしまう。
箱巣を籠の中に置いたら、すぐ中に潜り込むところ等、環境変化の順応力も高そうだ。
1/2手乗り文鳥夫婦の未来は、左朝と違った意味で楽しみだ。