浮宝の神のご神徳
航海安全・大漁祈願・交通安全
素盞鳴尊は「韓郷之嶋(からくにのしま=中国大陸)には金銀の財宝があるが、吾児所御国(あがみこのしらすくに=日本)に浮宝(うきたから=船)がなければ運ぶことができないので良くない」と言われ、鬚髯(ひげ)を抜くと杉になり、胸毛を抜くと檜となり、尻毛は艨iまきのき)となり、眉毛は樟(くす)となりました。 そして「杉と樟は浮宝の材に、檜は社殿を造る材に、艪ヘ蒼生の奥津棄戸(あおひぐさのおきつすたべ=棺桶)に利用しなさい」と言われました。 素盞鳴尊の御子神の五十猛命とその妹神の大屋都比売命・都麻津比売命の三柱の神様は、全国に木の種を播きほどこして紀伊国にお鎮まりになりました。と日本書紀巻第一(神代上)に書かれています。 当時の交通手段は、陸上は徒歩、海上は船によるものでした。 大量輸送や食物の確保(漁業)のために船は大切にされ、その大切な船は木(杉や樟)で造られ「浮宝」と呼ばれました。 海に拘わる人たちは船の守り神として木の神様を崇め、航海の安全も祈るようになりました。 今も大阪湾から紀伊水道の沿岸の漁師の方々の信仰が篤いのはそのためです。 海上交通の手段である船の航海安全のご神徳の高い五十猛命は、自動車が普及すると陸上交通の神としても崇められ、今日では、多くの方が車の交通安全を祈願されます。