生物実験データベース
各社の生物教科書や各都道府県の生物教育研究会で作成している生物実験書
等を参考にして、生物実験を次のように纏めてみました。先生方が日頃苦労
されている生物の授業の参考になれば幸いです。又、次の各実験を取り上げ
ている全国の生物の先生方のホームページをご存じでしたらお教えください。
なお、E-mailのお届け先は、

RXP04450@nifty.ne.jp(斎藤三男)


導入
1.レポートの書き方 l 2.光学顕微鏡の使い方 l 3.大きさの測定

生物体の構造
4.細胞の観察 l 5.原形質流動の観察 l 6.原形質分離と浸透圧
7.植物の組織と器官 l 8.動物の組織と器官 l  9.体細胞分裂の観察

代謝
10.酵素カタラーゼの実験 l 11.アルコール発酵の実験 l 12.脱水素酵素の実験
13.光合成色素の分離 l 14.ウミホタルの発光 l 15.簡易マノメターによる呼吸商の測定

生殖と発生
16.花粉管の伸長 l 17.シダの前葉体の観察 l 18.減数分裂の観察
19.ウニの受精と発生 l 20.細胞融合と組織培養

遺伝
21.トウモロコシの種子の色の遺伝 l 22.キイロショウジョウバエの遺伝
23.だ液腺染色体の観察 l 24.DNAの抽出

恒常性の維持
25.血球の観察 l 26.ヒトの視覚に関する実験
27.ブタの眼球の解剖 l 28.植物ホルモンのはたらき

生態
29.ウキクサの成長曲線30.植物群落の調査 31.プランクトン等の観察

生物多様性
32.クマムシの観察

生物学史資料
33.菩多尼訶経 l 34.植学啓原


【生物実験データベース関連リンク】基礎生物実験集


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レポートの書き方

レポートは、発表の一つの形式であって、読む人が解るように書かなければならない。新聞や雑誌の記事と同じである。ただ、小説や随筆と違って、理科のレポートであるから、美文調などには無縁で、簡潔で分かり易い文章を書くように心がける。「・・です」とか「・・ます」の、いわゆる「ですます調」は避けて「・・だ」「・・である」といった断定的な語調で書くと良いようだ。いわゆる科学論文を書くのと同じスタイルで書けばよいのであるが、高校生程度であれば、あまり、形式にとらわれずに、自由に書かせるのもよいだろう。
[1]研究のテーマ(題目)
主題は、先生が与えるから、それを書けばよい。子供達が、実験について、どの程度理解しているかを、推しはかるには、副題の欄を用意して、そこに、実験のキャッチフレーズを自由に書かせてみると面白い。例えば、
[主題] 細胞の観察
[副題]
(例1)見よ! ぼくの身体の細胞はこれだ!!
(例2)お昼の弁当のおかずのタマネギは全て細胞だったのだ!!
等があり、子供達の発想が解って面白いものである。
[2]目的(仮設)
実験というのは、抱いた疑問を解決するための仮設を設定することから始まる。どのような仮設を立てるか。子供に自由に仮設を考えさせる方が面白いと思うが、実験の目的が明瞭である場合は、それを書かせるとよい。現行の教科書では、それぞれの探究活動には、既に、仮設が用意されているのでそれを検証する実験であることを理解させることになろうか。
[3]準備(材料・器具・薬品)
実験材料は、工夫一つで、様々な生き物が利用できる。なるべく、多様な実験材料が用意されている方が望ましい。特別な実験材料・器具・薬品についてはくわしく書く。
[4]実験方法(実験の手順)
実験の手順は、箇条書きに書いたり、図を用いたりすると分かり易い。
[5]結果
生物の実験では、スケッチが多くなるが、スケッチは、点と線だけで描き、影はつけない。先の尖った2Hから4Hの鉛筆を使い、ケント紙に描く。
実験結果は図や表・グラフ等で簡潔に表す。対照実験を用意した場合は、実験結果と対照区の結果を比較する。
[6]考察(仮説の検証)
実験結果から考えられることをまとめる、あらかじめ立てた仮設や他の研究結果と比較検討する。
[7]参考文献
参考図書や資料の著者・書名・出版社名を書く。
[6]感想(発展学習)
実験の反省や、更に、実験中に気付いた新たな疑問や課題について書き、さらに仮設を立てて、新しい実験を計画する。
以上のスタイルで、生徒が自ら用意したレポート用紙に、報告書を書かせる。
最近は、B4サイズのザラ紙1枚に、実験に関する設問を用意し、それに答えさせるという書き込み式の報告書(レポート用紙)を与える先生方が増えてきているようだ。いっそのこと、マークシート形式のレポート用紙を用意してみるのも一興であろうか。
【参考図書】
田中義麿・田中潔共著「科学論文の書き方」1984(裳華房)
田中潔著「実用的な科学論文の書き方」1983(裳華房)
【関連リンク】
裳華房ホームページ

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光学顕微鏡の使い方

1.光学顕微鏡の説明図
【顕微鏡各部分の説明】
Eye piece 接眼レンズ
Body tube 鏡筒
Coarse adjustment 粗動ハンドル
Revolving nosepiece レボルバー
High power objective 高倍率接眼レンズ
Low power objective 低倍率対物レンズ
Arm アーム
Stage clip クリップ
Stage 載せ台
Diaphragm 絞り
Mirror 反射鏡
Base鏡台

2.光学顕微鏡の使い方
(1)顕微鏡に接眼レンズをはめ、次に対物レンズを中指と人差し指の間にはさんで レボルバーの穴にはめ、反対側の手で
ねじ込んで装着する。
(2)観察部分がステージ穴の中央に来るように、プレパラートをステージの上にの せ、クリップでおさえ、レボルバーをまわして、低倍率対物レンズが真上に来 て、カチンと手応えのあるところでとめる。
(3)接眼レンズをのぞきながら、反射鏡や絞りを調節して視野を明るくする。
(直射日光のあたるところでは観察しない。)
(4)横から見ながら、対物レンズをプレパラートに出来るだけ近づける。接眼レン ズをのぞきながら、粗動ハンドルを手前に
回し、鏡筒を静かに上げ、ピントを 合わせる。
(5)拡大したい像を視野の中央に来るように、プレパラートを移動させる。
(6)レボルバーを回転させて、高倍率対物レンズにする。
(7)かすかにぼやけた像を視野に確認する。
(8)更にピントを合わせるために、微動ハンドルを回してピントを調節する。
(9)絞りを調節し、見やすい明るさにする。

【参考図書】
(1)大阪府高等学校生物教育研究会編「高等学校生物実習書」1997
(2)富山県高等学校生物教育研究会編「生物実験」1998
(3)Biological Science "Molecules to Man"BSCS(Blue Version)

【関連リンク】
(1) ニコン・コーポレイション
(2) オリンパス光学工業株式会社

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体細胞分裂の観察


生物のからだを作っている細胞は、どのようにしてふえるのだろうか。タマネギの根端を使って、体細胞分裂の過程を染色体の動きを 中心に理解する。

準備
・材料:タマネギ(2n=16)の根端、ヒヤシンス(2n=16)の根端(水栽培用赤花ヒヤシンス)がよい)、タマネギの発芽種子、 ネギ(2n=16)の発芽種子
・器具:顕微鏡、スライドガラス、カバーガラス、ビーカー、管びん、温度計、 ピンセット、ハサミ、柄つき針、ろ紙・薬品:カルノア液、酢酸オルセイン液または酢酸カーミン液、3%塩酸 方法
・タマネギの発根
1.実験を行なう4〜5日前にビーカーに水を入れ、タマネギの底が水につ かるようにのせて置く。タマネギの種子の場合はシャーレに湿らしたろ 紙を敷いてまく。
2.水は毎日とりかえる。次第に発根してくるのが見られる。
・固定ー解離ー染色
1.タマネギの根端(3〜5mm)を切り取り、管びん中のカルノア液に入れ て約15分間処理する(固定)。
2.次に、根端を、管びん中の塩酸に入れ、管びんとも60℃の温湯に5〜8 分間つけて置く(解離)。
3.根端を、蒸留水で2〜3分間水洗いする。
4.根端をスライドガラスの上にのせ、柄つき針2本を使って、細かく糸状 にほぐす。
5.もう1枚のスライドガラスを十字形にかぶせて、横にずれないように、
強く押しつけ、引き離す。
6.はがした2枚のスライドガラスのそれぞれに酢酸オルセイン液を2〜3滴加え、5分間放置する(染色)。
7.カバーガラスをかけ、さらにその上にろ紙を置き、横にずれないように 真上から、静かにしかも強くおしつぶす。
観察
1.まず150倍ぐらいの倍率で、分裂している細胞をさがし、その後倍率をあ げて観察する。
2.どの分裂段階の細胞が多く見られるか。一視野の中に各段階の細胞がい くつずつ見られるか数えてみよう。
3.いろいろな分裂段階の細胞を探してスケッチしてみよう。
4.核分裂段階の細胞の大きさを測ってみよう。
考察
1.体細胞分裂はどのような順序で行われているかまとめてみよう。
2.分裂は根端のどの部分に多く見られたか。
3.それぞれの分裂時期の細胞の数(頻度)から、どのようなことが考えら れるか。推測してみよう。
4.間期と前期の細胞について、核と細胞との相対的な大きさを比較してみ よう。このことからどのようなことが考えられるか。
観察結果
次は、河野晃先生の方法でデジカメを使って撮った顕微鏡写真です。

   

【体細胞分裂のビデオ】

quicktime



【参考図書】
’98富山県高等学校生物教育研究会編「生物実験」

【関連リンク】
メルク社

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プランクトン等の観察

近くの池や沼の水をプランクトンネットを引いて、採集してきた水中の微生物を観察すると、非常に沢山の種類が見つかる。それらを顕微鏡で観察しスケッチしてみよう。
材料
近くの池や沼の水。
器具と薬品
プランクトンネット、管瓶、ホールスライドガラス、カバーガラス、スポイト、顕微鏡等
実験の方法
(1)近くの池や沼に出掛けて、プランクトンネットを引いて、池や沼の微生物を採集し、管瓶に入れる。
(2)管瓶の微生物をスポイトで、ホールスライドガラスにとり、カバーガラスをかけて、低倍率で検鏡する。
(3)微生物が見えたら、必要に応じて顕微鏡の倍率を上げ、ケント紙にスケッチする。
(4)プランクトン図鑑等を参考にして種名を検索し、スケッチした微生物に名前をつける。
参考資料
淡水産植物プランクトン等
藍藻類
A:ミクロシスティス(ミズノハナの1種 ) B:ネンジュモ(拡大図,細胞が寒天質の物質中に埋没する) C:全形 D:アナベーナ E:シリンドロスペルマ(x120)
F:ユレモ G:ユレモ(x110) H:カロスリックス I:カロスリックス固着部拡大(x420) J:リヴェラリア(群体の一部)

接合藻類
A:ツヅミモ(X420) B:(同細胞膜)(x420) C:ツヅミモ(分裂中のもの) D:ユウアストルム(x240) E:ミクラステリアス(x240) F:ミカヅキモ(x200) G:ネトリウム(x300) H:コウガイチリモ(x30) I:スピロテニア(x420) J:チリモ(x260)K:アルスロデスムス(x240) L:ホシミドロ(1接合子を見る) M:アオミドロ(右側に2接合子を見る) N→R:アオミドロ(接合子の発芽) S:イタミドロ T:シロゴニウムの接合

緑藻類
A:クラミドモナス(x1500) B:クラミドモナス(420) C:ヘマトコックス(x420)
D:ヨツメモ(群体全形)(x4/5) E:ヨツメモ(x800) F:同群体内の細胞(x800)
G:キルヒネリエラ H:プロトコックス I:セネデスムス(x800) J:同(x800)
K:クンショウモ(x420) L:アミミドロ(約実物大) M:アミミドロ(x35)
N:ヒビミドロ(x420) O:ヒビミドロ(x420) P:ヒビミドロ(游走子) Q:同全形
R:ケードフォラ(タマモ)(拡大図 x75) S:ツルキミドロ T:サヤミドロ(蔵卵器のすぐ下に多数矮雄体が着生したもの) U:プルボケーテ V:フシナシミドロ(x100)
W:フシナシミドロ(x100) X→Z:サヤミドロ(游走子)

【参考図書】
印東弘玄著 「理科実験講座(6)植物(完)」 岩崎書店1957
【リンク先】

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緩歩動物門クマムシ類の教材化

1.はじめに
クマムシは、そのユーモラスな形態、ユニークな生活様式からとても興味をそそられる生物である。しかも身近なコケの中でたいてい見つかるので、採集に事欠かない。にもかかわらず一般にあまり知られておらず、生物教師でさえも実物を見たことがある人は皆無に等しいのはとても不思議である。
2.クマムシ類について
クマムシは分類上環形動物と節足動物の間に位置すると考えられており、北極から南極まで全地球上から広範囲に見つかっている。淡水産、海産、半水生の陸産のものも含め、すでに、500種以上が知られている。特徴的な体制とゆっくり歩く姿から緩歩動物門(Tardigrada)という1門をなし、その形態が熊に似ることから Water-bear と呼ばれている。最大のものでも1mm程度で、顕微鏡でないと観察できない。ふつう4対(8本)の脚を持ちその先端についた鍵爪を引っかけながら歩く。陸生のものはコケの中などのじめじめした環境を好むが、乾燥続きコケが乾いても、体を縮めて「樽状(樽型)」と呼ばれるクリプトバイオス(潜伏生命・乾眠)の状態で耐える。この樽状での悪循環に対する耐性はすさまじいもので、驚嘆に値する。高温(100℃)低温(-270℃)だけでなく、アルコールなどの有機溶媒、紫外線・X線等の放射線にも長時間耐え、我々の観察では、電子レンジに3分かけて死ななかった。ふつうに見られるのは、ニホントゲクマムシ Echiniscum japonicus(異クマムシ目)、オニクマムシ Milnesium tardigradum(真クマムシ目)、ハームスオールトチョウメイムシ Macrobiotus harmsworthi(真クマムシ目)である。 3.授業での展開例
(1)採集・抽出
ギンゴケ、ハマキゴケなど身近にあるコケを採集し、細かくちぎって沈殿管に入れて水に浸す。1〜数時間放置後、 底にたまったクマムシをピペットで回収する。沈殿管がなければシャーレや時計皿、プラスチックカップなどで充分である。コケは湿ったものよりむしろ乾燥しているものの方が扱いやすく、乾いていてもクマムシが存在すれば樽型の状態にあるので心配はない。
(2)樽型の形成・復帰の観察
歩き回っているクマムシをホールスライドガラスに入れ、水を極力少なくしてカバーガラスをかける。このとき、磨きの平らなスライドガラスを使用したり、カバーガラスをかけなかったりすると乾燥時間が短く急激なので、うまく樽型にならず死んでしまう(復帰しない)。樽型になったものに水を加えてみると、みるみる伸びて歩き出す。水分量の調節によっては、1時間の授業で形成・復帰ともに観察することが可能である。
(3)悪循環に対する耐性
樽型になったものをありとあらゆる悪循環にさらした後、水に戻して復帰させてみる。いろいろな悪循環を生徒に考えさせるのもおもしろい。液体窒素等を利用したり、電子レンジ、紫外線照射装置、オートクレーブなどを用いるものを検討中である。
4.参考文献
(1)森川国康:動物系統分類学(内田亨監修),6,295-333, 1997;中山書店
(2)宇津木和夫:遺伝,39(11),42-51,1985.
(3)Watanabe,Y.,Sasaki,K&Taira,K.;Sci.Rept.Yokosuka City Museum,6,93-96,1961.
(4)宇津木和夫:自然環境科学研究,7,29-34,1994.
【参考図書】
(1)山崎仁也(県立千葉大宮高校)田原豊(県立幕張西高校)宇津木和夫(東京女子医科大学)
「日生教第50回全国大会(千葉大会)大会要領」1995
(2)FIVE KINGDOMS - An illustrated guide to the phyla of life on earth -(Second edition)
by Lynn Margulis and Karlene V. Schwarz (FREEMAN) 1988

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工事中!!
SORRY!
ご迷惑をお掛けしております。




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