4-1.ソニーの法則
(1999.08.15)
こうも日本経済が惨たんたる状況になってくると、SONYのような好業績企業の
秘密が知りたくなりますね。
最近素晴らしい書籍にめぐりあいました。片山修著 “ソニーの法則”小学館文庫
(文庫ですが書き下し)です。
詳細は、お読みいただくとして、ぼくの感動だけお伝えいたします。
『企業は人なり』とは、あまりに聞きすぎた言葉ですが、ぼくの解釈は
『企業は経営者なり』ですね。
どんな企業にも、それなりに人材はいます、逆に高学歴で、柔軟性に欠けている人も
多いです、素晴らしい人材は育てるものです。
どんな人にもそれぞれ特技があり、問題はその人たちを活かせるかどうか
、
ということです。
ぼくのエンジニアの端くれとしての経験ですが、技術者は誰しも、問題を抱えて
悩みますが、ある人は一生かかっても解決できない人もいます。
またある人は、同じ問題を数分悩んで解決します。
ところがそのふたりの評価は、たいていの企業では、たいした違いにはなりません。
それどころか別のファクターが優先されたりします。
優良企業の素晴らしいところは、その評価が違います。
SONYの場合、創業以来53年になり、組織も巨大化していますから、
日本企業の大部分が陥っている、大企業病や、加齢による士気の低下などは、
比較条件になりません。
SONYの活力源は経営者が素晴らしいからです。創業社長井深大氏、盛田昭夫氏、
大賀典雄氏、現、出井伸之氏、大賀典雄氏は東京芸大卒後、ベルリン国立芸術大学を
主席で卒業された、プロのバリトン声楽家です。芸大の学生時代から、SONYの
オーディオのモニターをしていて、中途採用です。嘱託として5年勤め、製造部長に
なったそうです。
大賀さんの業績はレコード会社、映画会社を買収し傘下におさめ世界的な
コングロマリッドにしました。
出井さんは、ジュネーブ大学でも学び「複雑系の経営」理論や「収穫逓増の法則」
などで有名ですが、経済学者と言っていいでしょう。
その成果はVAIO生産方式などに着実に現れています。お二人の才能が期待通りに
成功しています。
有名な、お二人を例にとりましたが、ほかにもトップや中堅に、たくさん
いらっしゃいます。
SONYの最新の会社四季報によれば、98年度は単独では営業赤字だそうですが、
日本企業としては初めて、
1961にアメリカでADR(米国預託証券)を発行し、70年にはニューヨーク
証券取引所に上場しています。
ぼくの別のページで書きましたが「5-6.貿易をしていない国、アメリカ」とも
関連しますが、SONYは日本が
たとえば滅亡しても(してほしくないですが、)生き残る企業です。
輸出比率68%もすごい数値です。
SONYの語源は、ラテン語で、音を意味する“sonus”と、かわいい坊やという
意味の英語“sonny”から命名したそうですが、独創的な名前に負けず、
VTRではβ方式で失敗したかに見えますが、β方式は8ミリビデオの成功に
つながっているのです。
失敗を恐れない、クリエイティブな企業なのですね。出井さんは、
こんなことも言っています、
日本で経営していると欧米より10%も余計に税金を払わなければならない、
これは大きなハンディキャップです
日本の法律に従ってビジネスをしているのが本当にいいのか、とおっしゃっています。
頭脳流失のように優秀な人材も海外へ脱出してる人がけっこういますが、
優良企業も考えは同じでしょう。政府は真剣に憂慮すべきです。
数日前のニュースで、皆さんもご存知だと思いますが、SONYが
インターネットでの直接販売を始め、拡大し
インターネットでの販売を主にしていくのだそうですね。
出井社長、さすがですねぇ、「複雑系の経営」理論や「収穫逓増の法則」などで
有名な経済学者と言ってもいい方だとは、前に述べましたが、積極的にここまで、
やるんですね。
メーカーが流通経路(日本の場合、特に複雑怪奇な!)を、介さないで
直接消費者と、取り引きするということは、はかりしれないメリットがありますが、
それだけの勇気に(こんな日本で始めた勇気に!)敬服いたします!
出井さんのような方が、まだ日本にいらっしゃるなら、まだ日本はだいじょうぶ
かもしれません、、
流通コストを最小にしてメーカーと消費者の相互利益を最大にすることは経済の
大きな目標ですが、今回の手法は特に日本においてたいへんな摩擦があるでしょう
けれども、画期的なことです。
さすが、SONY!、さすが、出井さん!!、ですねえ。