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9-2.仏教について



(1999.09.07)

【 等幅フォントで、ご覧ください。】

 東洋文明にとても興味があります。仏教にもです。漢方医学もちょっと研究してます。
いまぼくたちが使っている日本語の6割は仏教に端を発している、とも言われています。

 お悔やみや法事のときくらいしか、接しなくなってしまった仏教ですが、日本人の心の
故郷ともいえる仏教を、少しふりかえってみたいと思います。

1.仏教各派(大乗)の根本的理念、四諦、八正道 (転法輪経 第二部)

 四諦 (四つの真理)
 @ 苦諦(くたい)  苦に関する真理 (人生とは本質的に苦である)
・・ぼくはそう思いません。
 A 集諦(じったい) 原因に関する真理(苦の原因を明らかにする)
 B 滅諦(めったい) 消滅に関する真理(苦の原因である煩悩の消滅が苦の消滅である)
 C 道諦(どうたい) 実践に関する真理(いかにすれば苦の原因を取り除けるか)

 八正道 (苦悩を克服する八つの方法)
 @ 正見   正しい物の見方
 A 正思惟  正しい思索
 B 正語   正しい言語活動
 C 正業   正しい身体的行為
 D 正命   正しい生活
 E 正精進  正しい努力
 F 正念   正しい注意力
 G 正定   正しい精神統一

2.四苦八苦について『四苦八苦』という言葉をよく言ったり聞いたりしますが、
  ご参考までに、

生老病死(しょうろうびょうし)

 @ 生   :生まれる苦しみ ――――――――――――┐――――┐
 A 老   :年老いる苦しみ             │    │
 B 病   :病気になる苦しみ            ├→四苦 │
 C 死   :死ぬ苦しみ ――――――――――――――┘    │
 D 愛別離苦:愛する人と別れる苦しみ(あいべつりく)       ├→ 八苦
 E 怨憎会苦:嫌なものと付き会わねばならぬ苦しみ(おんぞうえく) │
 F 求不得苦:欲しいものが手に入らない苦しみ(ぐふとくく)    │
 G 五薀盛苦:心身がばらばらに盛んである苦しみ ――――――――┘
   (ごうんじょうく)  
五蘊(色:肉体、受:感覚作用、想:表象作用、業:意思作用、識:精神活動)
(色受想業識:しきじゅそうじょうしき、と読みます)

色即是空:の色を、お色気の色、だと勘違いしてる方が多いのですが、
色とは、現実世界の物質的現象の事で、それは空(実体がない)ものだという意味です。

これら、いわゆる煩悩を、四諦、八正道(転法輪経 第二部)という教えで、克服して
悟りに至ろう、というのが、おおまかに言えば、大乗仏教の教えです。

3.お経について

 大蔵教には、天文、地理、鉱物、植物、生理、衛生、医学、薬学、論理、心理、政治、
       経済、社会、家庭、職業、風俗、習慣、寓話、笑話、説話、物語、etc.
 このように仏教は、広範囲な考え方である。
 日本では大正新脩大蔵教(全100巻 \1,849,000 だいぶ前の値段ですが )大蔵出版(株)
刊が最も権威があり、体形的なものでは、唯一である。
(ぼくはこれは高価で買えないので、大蔵教要文集という分厚い1冊を愛用しています)
 経典の数は、約3,000といわれている。
その中から特に選びだした経典を拠りどころにして仏教を説こうとしたのが、宗派の
始まりである。

 仏教関係の書籍や、経典をけっこうもっていますが、お経って漢字を音読みすると、
ほとんどきまりです。
中国に行った人も音読みで話すとかなり通じると言っていましたよ。

 よく知られたところでは、般若心経がありますが、ほとんど暗記していますけれど、
あと、観音経として有名な、妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五偈と言いますが、も
韻をふんでいて、とっても言葉の響きが美しいので、大好きで、時々となえています。


4.日本の仏教宗派の概要。

  宗派名   開祖又は中興の祖 信奉経典    総本山        信者数   寺院数 本尊    南無   備考

1 律宗 鑑真(688〜763) 四分律蔵 唐招提寺(奈良) 134,000人 115

2 華厳宗 良弁(689〜772) 大方広仏華厳経  45,000人 58 毘舎那仏
(ろうべん) (奈良の大仏)
3 法相宗 道昭(628〜700) 成唯識論 興福寺(奈良) 615,000人 60
薬師寺(奈良)

4 真言宗 空海(774〜835) 大日経・金剛頂経 高野山 13,820,000人 12,000 大日如来 南無大師遍照金剛
東寺(教王護国寺) 曼荼羅 成田山新勝寺
                                                   川崎大師 等分派多い

5 天台宗 最澄(767〜822) 妙法蓮華経 比叡山延暦寺 3,117,000人 4,200 釈迦如来 朝:南無妙法蓮華経
阿弥陀経・大日経 (滋賀県大津市) 夕:南無阿弥陀仏

6 融通念仏宗 良人(1072〜1132) 大方広仏華厳経 大念仏寺  123,000人 357 阿弥陀如来 南無阿弥陀仏
妙法蓮華経 (大阪市) 菩薩

7 浄土宗 法然(1133〜1212) 無量寿経・阿弥陀経 知恩院(京都市) 6,445,000人 8,000 (阿弥陀仏) 南無阿弥陀仏
観無量寿経(浄土三部経)


8 浄土真宗 親鸞(1173〜1262) 無量寿経・阿弥陀経 十派に分派 13,336,000人 約2万 (阿弥陀仏) 南無阿弥陀仏
観無量寿経(浄土三部経) 大谷派 →東本願寺 歎異抄
本願寺派→西本願寺

9 時宗 一遍(1239〜1289) 浄土三部経特に阿弥陀経 精浄光寺   246,000人  414 (阿弥陀仏) 南無阿弥陀仏
踊り念仏

10 臨済宗 栄西(1141〜1215) 労働を尊び座禅を 15派に分派 1,980,000人 約5,800 (釈迦牟尼仏) 南無釈迦牟尼仏
重んじる 建長寺、他 座禅:公案

11 曹洞宗   道元(1200〜1253) 修証義(正法眼蔵)  永平寺(福井県) 6,885,000人 約1万5千 (釈迦牟尼仏) 南無釈迦牟尼仏
                 普勧座禅義

12 黄檗宗   隠元(1592〜1673) 念仏禅(念禅一致)  黄檗山万福寺   353,000人    460 (阿弥陀仏) 南無阿弥陀仏
                  真言陀羅尼経(密教的要素)京都宇治                  (隠元豆)

13 日蓮宗   日蓮(1222〜1282) 妙法蓮華経    大きく11に分派 34,198,000人   6,800 (曼荼羅)  南無妙法蓮華経
                                                    立正安国論

その他     新興宗教:(在家教団)創価学会、立正佼成会、霊友会、等(日蓮宗の在家教団だけでも現在約20ある)

備考: 念仏 − 南無阿弥陀仏    (南無:信じますの意)
    題目 − 南無妙法蓮華経

 * 参考文献:岩波新書 日本の仏教、お経の話、仏教(第二版)、いずれも渡辺照宏著

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 皆さんのお仏壇にも在家勤行聖典とかの、お経があったりすると思います。
その中にきっとあると思いますが、ぼくの好きな般若心経と、観音経を、書かせていただきます。

 <般若心経>
(原文:一部漢字でJISに無いものがあり音が同じで意味の近いものを代用致しました。)
摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。舎利子。色不異空。空不異色。
色即是空。空即是色。受想行識。亦復如是。舎利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不浄不増不減。
是故空中。無色無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色聲香味觸法。無限界乃至無意識界。
無無明亦無無明盡。乃至無老死。亦無老死盡。無苦集滅道。無智亦無得。以無所得故。
菩提薩捶。依般若波羅蜜多故。心無卦礙。無圭礙故。無圭礙故。無有恐怖。遠離一切顛倒夢想。
究竟涅槃。三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿縟多羅三藐三菩提。故知般若波羅蜜多。
是大神呪。是大明呪。是無上呪。是無等等呪。能除一切苦。真実不虚。故説般若波羅蜜多呪。
即説呪曰。羯諦。羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。菩提娑婆訶。般若心経。

お経は、ご存知かと思いますが、サンスクリット語を漢字に音で写した(音写した)もので
尚且つ意味を継承していますので、漢字を読めば意味もだいたいお分かりになるとは思いますが
現代文で、解説させて頂きます。

(訳文)<大蔵教要文集:正読会出版部編より>
観自在菩薩は深般若波羅蜜多を行ずる時、五蘊は皆空なりと照見して、一切の苦厄を度したまふ。
舎利子よ、色は空に異ならず、空は色に異ならず、色は即ち是れ空なり、空は即ち是れ色なり。
受・想・行・識も 亦復是の如し。
舎利子よ、是れ諸法は空の相にして、生ぜず、滅せず、垢つかず、浄(きよ)からず、増さず、
減らざるものなり。是の故に空の中には、色もなく、受・想・行・識も無く、
眼・耳・鼻・舌・身・意も無く、色・聲・香・味・觸法も無く、眼界も無く、乃至意識界も無し。
無明も無く、亦無明の盡くることも無く、乃至老・死も無く、亦老・死の盡くることも無し。
苦・集・滅・道も無く、智も無く、亦得も無し。(そは)得る所無きを以ての故なり。
菩提薩捶は、般若波羅蜜多に依るが故に、心に圭礙無し。心に圭礙無きが故に、恐怖あることなく、
一切の顛倒夢想を遠離して、涅槃を究竟すべし。
三世の諸佛も、般若波羅蜜多に依りたまひしが故に、阿縟多羅三藐三菩提を得たまへり。
故に知るべし、般若波羅蜜多は、是れ大神咒なり。是れ無等等呪なり。能く一切の苦を除き、
真實にして虚ならず、故に般若波羅蜜多の呪を説く。即ち呪を説いて曰く
 羯諦羯諦、波羅羯諦、 波羅僧羯諦、 菩提娑婆訶。
(自度他度 彼岸に救う 彼岸を究竟する 速かに悟りの岸に到る)
(この部分は音写のみで意味は読めない、密教のマントラに似てる、依って解説文を付記しました)

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 <観音経:妙法蓮華経巻第八 観世音菩薩普門品第二十五 偈>

世尊妙相具 我今重問彼
佛子何因縁 名為観世音
具足妙相尊 偈答無尽意
汝聴観音行 善応諸方所
弘誓深如海 歴劫不思議
侍多千億仏 発大清浄願
我為汝略説 聞名及見身
心念不空過 能滅諸有苦
仮使興害意 推落大火坑
念彼観音力 火坑変成池
或漂流巨海 龍魚諸鬼難
念彼観音力 波浪不能没
或在須弥峯 為人所推堕
念彼観音力 如日虚空住
或被悪人逐 堕落金剛山
念彼観音力 不能損一毛
或値怨賊繞 各執刀加害
念彼観音力 咸即起慈心
或遭王難苦 臨刑欲寿終
念彼観音力 刀尋段段壊
或囚禁枷鎖 釈然得解脱
呪詛諸毒薬 所欲害身者
念彼観音力 還著於本人
或遇悪羅刹 毒龍諸鬼等
念彼観音力 時悉不敢害
若悪獣囲蟯 利牙爪可怖
念彼観音力 疾走無辺方



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