第6回鑑賞ツアー 堂本印象美術館



:2003年 9月20日(土)
場所 :京都府立堂本印象美術館
参加者 :計28名
視覚障害者9名・晴眼者(ガイド)16名
(付き添い&ヘルパー3名)


ちょっと久しぶりの鑑賞ツアー。久しぶりのその間にビューのメンバーは、ガイドのワークショップや、東京・世田谷美術館での鑑賞ワークショップをこなして、再び新鮮な気持ちでトライしました。
さて今回の美術館は、京都、衣笠の立命館大学の前にある「堂本印象美術館」です。この日の天気はあいにくの雨。小雨が降る中、しかし集合時間にはぴたりと合計28名の方が集まってくださりました。初めましての初参加の人と2回目、3回目の常連さんと、半分半分ぐらいの参加です。
入場前の説明を受ける皆さんの写真
まず、入り口で学芸員の吉田さんに、堂本印象についてとてもわかりやすく説明していただきました。
「堂本印象」・・・京都では名前はよく聞くけれど、どんな画家かしら? と思っていましたが、学芸員さんの解説を聞いてますます混乱?! 
印象は、明治24年生まれで大正、昭和と活躍していた日本画家です。若くして作品のスタイルを確立、著名にもなったけれど、それでおさまることなく、次々にその画風を変えていきます。
今回の展覧会の中でも、淡い静かな仏画もあれば、パリの活気ある町の様子が描かれた作品もあり、イメージを絵にした抽象画(宇宙の暗闇にうかぶ流れる星のように見えた)もありました。それから、なんと美術館の建物も印象によるデザインです。白い2階立ての建物。壁に顔やツタやなにかわからないデザインのレリーフがごてごてとついている不思議な建物です。入り口の柱や館内の椅子、ドアノブなども印象によるもので、触って鑑賞することができます。
階段登り口写真  
階段にも触れるレリーフ
ツアーは、2〜4名のグループに別れて鑑賞しました。今回のグループはいろいろなグループがいました。お気に入りの1点の絵の前でじっくり話し込むグループ、木彫りの椅子や壁など触ることに重点をおいているグループ、館内のガイドボランティアさんにも解説してもらっているグループ、抽象的な作品を言葉だけでなく、ボディアクションによる説明をしているグループ(筆のラインを、視覚障害の人の手をそえて空でなぞっていた説明していた)、などなど。
後の感想で話題になっていたのは、鍵穴の女の作品(タイトル忘れた・・)。横置きの作品でしたが、その中央に肩(なで肩)から上の女性が描かれています。その左右にいくつもの鍵がデザインのように(でも一つ一つ違う)描かれています。
じっくり見ると気がつく人は気がつく、中央の女性の形のシルエットは、鍵穴の形になっているのです。1人の参加者は、画家は、わからない女性の気持ちを鍵であけてのぞいてみたかったのでは?とおっしゃっていました。なるほど。鍵の作品は他にもありました。堂本印象にとって鍵はどういう意味があるのでしょう?
廊下の展示 音を出す写真1
鑑賞する人達
今回もいつものごとく大向久子さんに点図を何点か用意してもらいました。
今回の展覧会のメインの作品「乳への願い」も点図にしてもらいました。この作品は、高さ2メートル×幅は、3メートル以上ある大作です。その画面の4分の3に大きな大きな真っ白な牛が右向きにいます(実物より大きいかも)。
空から、その牛にむかって真っ赤なサリーを頭からまとった女性が手を合わせてかがんでいるという仏画です。
細いタッチの繊細な作品で、全体の色使いも淡く、サリー以外は、全体的に白い印象の絵。
でもサリーともう一つ、赤色で描かれているものがあります。人間の手型。大きな牛の背中にぺたぺたぺたと5つほどついています。静かなそれでいて、圧倒される作品でした。
目の見える人は、作品に近づいたり離れたりして、見えない人に説明をしていました。見えない人は、点図をさわりながら、イメージをふくらませていました。
鑑賞後一休みの皆さん
鑑賞後は、近くの喫茶店でほっと一息、大人数で、貸し切り状態でした。
少し変わった喫茶店で、部屋の中央に大きな大きなサークル状の机があって、ぐるりと椅子があります。机には、中心から大きな花だったかモニュメントだったかがあって、左右4人ぐらいまでしか顔が見えず、その他の人は全く見えない。
1人1人の感想を言い合っていましたが、半分以上の人の顔が見えない状態で話しをしていて、目が見える私は、すこし不安になったのでした。
参加者のみなさん、堂本印象美術館の関係者の方々、ビューのメンバー、どうもありがとうございました。(報告:あべこずえ)
鑑賞ツアー感想 第6回を参考にしてください。
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