『SIGNAL 和出伸一・2000のドローイング』展
ギャラリーRAKU




2004年2月12日(木)
場所 京都造形大学 ギャラリーRAKU
参加者数
視覚障害者2名
晴眼者3名+和出伸一氏

2004年になって、ビューはめくるめく活動を再開します。プチツアー第2弾は、北白川にある京都造形大学内のギャラリーRAKUという場所でした。
(1)平日の、(2)まだ午前中に、(3)ギャラリー鑑賞というのは、実はこれがはじめて。今までは、たいてい週末の昼下がりに美術館に行っていたのです。ということで、どうなることかしら…と思っていたプチツアーでしたが、ビューのメンバー3人以外におふたりの参加がありました。視覚に障害のある人2人に、ガイドが3人でトータル5人のツアーになりました。

さて、今回のRAKUは和出伸一さんという20代後半の画家さんの、個展を開催していました。
実は、ツアーを申し入れた時、和出さんから「あの、絵とか触ってもらっていいですし」という提案がありました。
そして、当日は、コーディネーターからは何のお願いもしなかったのに、手に取れるサイズの絵の見本を用意して待っていてくれました。(こちらからの働きかけの結果でなしに、作家さん自ら自発的に提案していただけたことは本当に嬉しく、また心強いことでした)
見えない参加者2人に渡されたその見本は、A4サイズより少し大きいくらいの白い紙に、絵の具で簡単に「何か」描かれているものでした。
「今回の展示ではこれが2100枚以上、部屋の壁一面に貼り巡らしてあります」
そうそう!書き忘れていましたが展覧会タイトルは『SIGNAL2000のドローイング 』
会場風景写真1
息を呑む、ひしめき合ったドローイングの数。そのひとつひとつは、シュルシュルッとしたラフな線で構成されています。消して書き込まれたり塗りこめられたりしていません。が、それが2000と100という迫力を持ってツアーの5人と和出さんと取り囲んでいました。
これ、全部触っていいんですか?という言葉が出掛かったけれどストップ。一番 上の列の絵は地上3メートル…ということで、説明しても手が届きません。

さて、では何が描かれていたかというと。抽象的な模様あり、具体的なものあり、風景画?のようなもありました。具体的なもの、といっても、空中ブランコに足でつかまっている様子だったり、『恐竜のできそこない』のような、デフォルメがなんとなくおかしいような線だったり。画面中央に背中が赤く燃えたマスコットのようなサルを猫背気味に書いて画面右端をエメラルドグリーンで塗ってあって…カチカチ山?水辺で冷やすのか…と想像したり。とにかく切とり方が面白かったです
会場風景写真2 会場風景写真3
はじめは二組に分かれて鑑賞していましたが、最後にガイドの3人がそれぞれ自分の気に入った作品をひとりずつ紹介しました。2100分の3だから厳選されています。
そこで、選ばれたのは、(これぞ毒入り!というような赤の水玉)きのこと、よく見 ると風景画のような抽象画と、コラージュのようなロバの横顔の絵でした。選ぶ絵が おのずと三者三様で、もちろん説明も人それぞれでした。

和出さんは、アクセスビューの鑑賞ツアーで自分の絵がどんどん言葉という形に置き 換えられてゆくのをどんな風に思ったでしょうか?
こうやって、行く先々の作家さんや、ギャラリー・美術館に鑑賞ツアーを知っていっ てもらうのも大切だなと改めて思いました。
喫茶室での写真
さて、場所をCafeにうつしてお昼ご飯にパンを食べながら、ツアーの感想交換会。
という予定でしたが、初対面の方同士だったこともあってか、ツアーや絵の感想とい うよりは、視覚に障害のある人の特徴について「しっかりしている」「長生きだと思 う(!?)」などざっくばらんなお話の飛び交うランチになりました。
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