第16回鑑賞ツアー 岡崎アート散策
「選んで、計画して、ギャラリー巡り & カフェで一服」

 
 


2007年6月3日
場所 京都市 岡崎周辺ギャラリー
参加者数 目の見えない人、見えにくい人:10人
見える人:21人

── 大向久子報告 ──

ろくに広報もできないほど、いつもギリギリの予定で鑑賞先を決めていたビューですが、最近は少し襟を正して、まず日程を決め、1ヶ月前にはきちんと募集をかけられる体制にしました。すると、常連さんばかりでなく、遠方からの新しい参加者も増え、活動に広がりと、何か新鮮な空気が感じられるようになってきました。

次の予定は6月3日。さあ、どこへ行こうか・・・と余裕をもって美術館選びにかかりました。そして、京都国立近代美術館の「福田平八郎展」に白羽の矢が当たったのですが、問い合わせてみると、なんとその日は展覧会の最終日。混雑が予想されるので・・・と美術館側は難色を示されます。私たちも今まで、周りの状況を顧みず、作品の前で長く立ち止まったり、つい興奮して大きな声で喋ったりして他のお客さんに迷惑をかけることが多々あり、強行突破することもはばかられ・・・ さて、どうしたものか・・・
そこに、光島さんから、「岡崎周辺のギャラリーを回ってみては?」との提案。そうだ、美術館に固執しなくても、アートを楽しむ場はいくらでもあるのだ! ということで、初めてのギャラリー巡りと相成りました。

まず、「ギャラリー&カフェ」マップを作るために、事前に周辺を歩いて情報を集めました。結果、以下の7箇所の展覧会をビューからお勧めすることにしました。
 京都国立近代美術館  「福田平八郎展」(日本画)
 ギャラリー16  小倉唯史「個と構造」(写真・インスタレーション)
 ギャラリー青い風  水口裕美子(水彩)・白井陽子(日本画)
 ギャラリー東山  斉藤卓治 「紙と昆虫たち展」(ペーパークラフト)
 ギャラリーはねうさぎ  渡辺信夫 「万物共生の大地」(写真)
 徳永隆之 「Zoological Garden」(写真)
 ギャラリーすずき  浅野久男 「針穴写真展」(写真)
 ギャラリー虹  浅川あゆみ 「赤い双葉」(油彩と点描)

散策マップ拡大表示(PDFファイル)へさて、当日の参加者は、見えない人・見えにくい人が10名、見える人が21名の総勢31名。他府県から来られた方や、点字毎日の記者さん、今日が初めてという方も。
すっかり友好関係を築いてしまった近代美術館の講堂をお借りして、見えない人一人+見える人二人のチームを10組作り、それぞれ今日の散策コースを計画してもらいました。(オリジナルのカラフルな周辺マップと、点図マップを配布しました)
講堂にて 福田平八郎展の鑑賞1 福田平八郎展の鑑賞2
私のグループは、まず「福田平八郎展」を駆け足で鑑賞しました。青と緑のコントラストが美しい「水」。1本1本、色や模様を違えて描き分けた「竹」。銀の屏風に群青色一色で、湖のかすかな風に漣をたてる、まるで動いているようなリアルな水面を描いた「漣」。ぽつぽつと大粒の雨粒が焼けた屋根瓦に落ちてはすぐ乾き、今にも夕立がくるのを予感させる「雨」・・・

大人の竹が7本、竹の子が3本、皮は茶色じゃなくてなぜか赤い・・・
竹の赤ちゃんやし赤いのかな?
けど結構大きい。
ほな、食べられへんな〜

瓦は何枚ぐらい?
ん〜 縦に7枚、横に3枚、21枚!(計算問題じゃないって)
などと、テキトーなことを話しながら、次はギャラリー16へ。

ギャラリー16にて 個展最終日のギャラリーが多く、作家さんがおられるので、説明がすごく楽チン。
とりあえずざっと見渡して、2分割された絵葉書の意味はなんだろう? 外国の景色の中に、となりにサンプルのように貼り付けられた色紙の半分が、しっかりと溶け込んで写真に写ってる・・・ってどういうこと? と、問題意識を高めておいてから、作家さんにその真相を尋ねる。ギャラリーって楽しいな〜

紙の昆虫たち展にて 次は三条通に出て、「紙の昆虫たち」展。新聞や雑誌に紹介されたり、最終日でもあったので、とにかくお客さんがいっぱい。紙を切り、ピンセットやはさみの柄の部分を使って、ふくらみをもたせたり、つまんだり、よくもまあ・・・とただただ唖然としてしまう。
他のグループで、昆虫に触らせてもらった人もあったようですが、つくづくビューの鑑賞ツアーはヒマな展覧会に限る、と思いました。
最初に見た昆虫のフルオーケストラにはビックリしたな〜
何の曲を演奏してるんでしょうか? 「虫の声」?(そのまんまやがな〜)

コロッケパクパク 東にしばらく歩くと何だかいい匂い。マップにかいてあった「世界一おいしいコロッケ」発見。1個65円なり。
ギャラリー虹のアルバイトの子が、そう言っていたんですって。けどどれだけ食べ比べたら世界一と断言できるんだろ?
そもそもコロッケってどこの国の料理? などとコロッケが揚がるまでのあいだ、コロッケ談義に花が咲きました。次のギャラリーまでの道を、アツアツのコロッケをほうばりながら歩く大人6名。今回のツアーで一番盛り上がってたりして・・・

最後は都ホテルの向かい側にあるギャラリーすずき。この時期あちこちでピンホール写真芸術学会の会員さんが展覧会を開いていて、この会場もその一つ。
写真のイメージを言葉で伝えるは難しいものでした。宮沢賢治の作品の一節が写真の横にコメントのようについていましたが、関連性がいまひとつ理解できず。作家さんがカメラの仕組みを話してくださいましたが、わ、わ、わからん (^_^;)

会員さんの一人で仏大の英語の先生という外人さんが私たちに興味をもって話しかけてこられました。光島さんに会えて、うれしかったそうです。「カレノ作品ハ、チカラモチ」って、それを言うなら「チカラがある」やろ!って、ひとり突っ込むワタシ。

最後に他のチームと合流して、お茶をしました。2時間ちょっと歩きづめで結構疲れましたが、今日はちょっと涼しいぐらいの散策日和でした。

ティータイム みなさんはどんなふうに過ごされたのかな? きっと10組10通りの楽しみ方があったと思います。自由解散にしたので、みんなの感想を聞く場面がなかったのが残念でしたが、この試みはまたやってもいいかも知れませんね。美術館で何百年も前の作品と対峙するも良し、できたてホヤホヤのコロッケみたいな作品を、作った本人の解説付きで鑑賞するも良し。これからもアイデアを出し合って、心に残る鑑賞ツアーを続けていきましょう。
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