いよいよ到着

今回の旅行では、限られた日数（全行程9日間）のうえ、持病の腰痛が不安要因だったので、ちょっとリッチに飛行機でディエン・ビエン・フーへ行くことにしました。 　ディエン・ビエン・フーへの航空券は現地でも購入できますが、もし国際線でベトナム航空を利用しているのであれば日本で一緒に手配した方が安上がりみたいです。 因みに私の場合、運賃改定前だったので往復9000円でした。現在は手配する旅行会社に依るのかもしれませんが、往復で1万3000円前後のようです。 搭乗前にあわてて撮らせてもらったので 機体が半分しか入らなかった！！ 　フライトは12時30分。 早めにノイバイ空港へ到着していたので11時にチェックインを済ませ、のんびりと搭乗時間を待ちました。 　　搭乗が始まったのが離陸30分前。70人乗り位のターボ・プロップ機（ATR72）で一路ディエン・ビエン・フーへ！ジェットエンジン併用ですが、やはり大型のジェット旅客機とは音がかなり異なり、ちょっぴり降下兵気分（笑）を味わう私。 　暫くすると山と畑、川と道のみの風景が眼下に広がり、更に数分後、平地は見えなくなり山脈ばかりが目に付くように。ディエン・ビエン・フーへはハノイから1時間。そうこうしているうちに飛行機は降下を始め、ぽっかりと盆地が見えてきます。ナムヨム川がその中央部を悠々と流れ、滑走路の西側の田圃は遠く山の麓まで続き…。 ここがディエン・ビエン・フーだぁ！ 　滑走路に降り立つと1954年の今日（4月5日）もきっと同じだったと思われる刺すような陽射し。滑走路の東側には、当時塹壕としても使用された排水溝がきれいに石積みに。（当時の上空からの写真にも、くっきりと写っています）。 左側に見えるのがその排水溝。戦闘が始まると塹壕としても使用されました。ぼやけてしまって残念 当時の航空写真。 左下の「へ」の字のような線が排水溝 　空港から市内までは約1kmで、ベトナム航空経営のエアポートホテルに泊まる予定だ、と、カウンターのお姉さんに言うと、無料で車を用意してくれました。エアポートホテルはかなり古い造りなのですが、結局そのまま一泊8$の部屋に滞在することに。 　立て付けの悪いドアや窓をがたがたと直し、電源の入っていない冷蔵庫のコンセントを差込み、電池切れのエアコンのリモコンのボタンを押しまくり、トイレットペーパーがないのに気づいた私達は、ディエン・ビエン・フーの街を歩いてみることに。 　それこそ歩いているだけでどり～む☆出来てしまう私と違い、同行のH女史は一度『スカイミッション』（ビデオ版の邦題）をビデオで観ただけ。良くぞ3日間もの滞在に了承してくれたものだと感動すら覚えるのでした。

エリアーヌ2

エアポートホテルの前から橋の向こう側のエリアーヌ陣地方面を見ると、正面に電波塔のような物が建っている一段と ホテルの前からエリアーヌ１を望む。 今ではのんびりした街です 高い丘が見えます。これがエリアーヌ1。ベトナム独立同盟（俗に言うヴェトミン）側の名前はC1の丘。停戦間際まで激しい戦闘が繰り返された丘の一つです。 　結構高い丘だなぁなどと思いつつ、橋を渡って突き当たりの地方道41号線（現在は国道279号線かな？）を右に曲がり、てくてく1km程南下すると、小高い丘の裾に記念碑らしきものが見えてきます。 　停戦当日まで丘を巡る戦闘が行われ、ベトナム独立同盟が記念塔の設置場所として選んだのがここ、エリアーヌ2（ベトナム独立同盟側の名前はA1の丘）です。 　この記念碑は、当時のこの丘を巡る両軍の配置図（左側）と、現在の案内板（右側）になっていて、道を挟んだ左側には若干手が加えられてはいますが、塹壕が残されています。 　余談ですが、塹壕の天井部分に使われているのは、朝鮮戦争時に米軍が滑走路に敷いていた鉄板らしいのですが、そのお下がりを仏軍も滑走路に使用していたようです。空港周辺では門扉やフェンスとして再利用されていました（笑）。写真を撮り忘れてしまったのが残念！ 当時のまま！と言いたいところですが、 土嚢に見えるのは実は「土嚢型コンクリート」（笑） 天井の鉄板は当時のものを再利用して、 周りをコンクリートで固めたと思わわれます 　5000VND（約45円）の入場料を払って丘の頂上へ。正面に記念塔（これも新しくなったみたいです）、その右手奥にM24戦車の残骸がポツン。記念塔の後ろには改築されて「こぎれい」になったエリアーヌ陣地の司令部。周りには塹壕も再現されています。 　ふと振り向くと、街の中心部や滑走路が！今では木々に遮られていますが、当時は中央司令部の全容もこの丘から望めたことでしょう。 中央部分に白く見えるのが滑走路 その左側周辺（画像外）がGONO中央司令部 何となく寂しげですが、他の博物館や道端に 置いてある戦車に比べると綺麗な方です 　どり～む☆していると、軍人さんが二人丘の頂上へやってきました。カメラを持っていたので、その時は単に観光なのかしら？と思ったのですが、ここはベトナムがフランス植民地からの独立を勝ち取った記念すべき最終戦の場。後になってみると、私の「観光」という言葉で済ますにはあまりにも軽すぎたかもしれません…。 　一人は大佐（帰国後、「北京亭」の九月さんにお伺いしました）で、穏やかな笑みを浮かべながら片言の英語で私達と意思の疎通を試みて下さいました。　この時が今回の旅行で、「ベトナム語の辞書を持っていれば…」と後悔した初めての瞬間でした 　大佐殿が果たしてこの戦いに参加していたのかどうかは結局分かりませんでしたが、少なくとも私の何十倍、何百倍も感慨深い古戦場訪問だったのでしょう。半ば強引に一緒に写真を撮らせて頂き、握手をして軍人さんと別れました。 　司令部の後方約20m程の所に蟻地獄のような大きな穴があります。（例によってコンクリートで固めてある）遥か手前からこの場を目指してトンネルを掘り、停戦間際の5月6日、TFT爆弾960kgの爆破に成功したという事です。（その大佐の話では1100kgということだったのですが、記憶違いだったのでしょうか？） これがその「蟻地獄」 少し丘を下った所に坑道も残されていました 　この爆破を指揮した将校には後にホーチミンから絹のシャツが贈られたとか･･･。 　この後ホテルに戻り夕食を済ませてディエン・ビエン・フー滞在1日目が終わりました。ホテルに戻った私達がエアコンのリモコンと、トイレットペーパーを所望したのは言うまでもありません（笑） つづく