「しかし宗教的立場の頂点に立った空海が宗教的真理を言ったところで,弁証法的止揚の話法が終わってしまいます。これでは個人の発想の自由でさえなくなります。私はこヽに宗教の限界があると思っている者です。」の部分にたいする玉井彰氏の対応がないので,代わりに対応してあげます。 宗教には限界がありません。従ってアウフヘーベンするとかしないとかの議論は宗教の世界では有りません。宗教的真理を体解した空海は,すでに絶対無の境涯に在り,個人とかの区別も無くなり,発想とか自由とかの有無もない,勿論話法も無い,永遠無限の境地に在ります。 この境涯は般若心経の「色不異空 空不異色 色即是空 空即是色」を,つまり空を体解しなければ解らない境涯です。
|