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●概要 導入にあたり、フーリエ変換やFFTはあるものとして、FFT乗算についての原理と乗算の方法を調べた。 ●原理 フーリエ変換は、数学的には 直交変換(積分変換)の一つで、信号(一次元、二次元、画像、物体など、データであれば結局何でも良い)を全く別の切り口で表現するものである。フーリエ変換では、周期関数の集合として表現する。離散系では有限の集合となる。実空間では距離などであったものが、フーリエ空間では、周波数と 解釈すればよい。ここでは、フーリエ変換には言及しないので、他書に依られたい。 ○畳み込み 重要な数学演算に、畳み込み(コンボリューション)がある。これは、ある関数 f に、別の関数 g を重畳させる演算である。通常、f*g と表す。連続空間では畳み込み積分となる。これは、一言で言えば、あるデータ群に対して、一定の変形を連続的に施すことになり、例えば、フィルタを掛けるイメージとなる。畳み込みは離散系でもあり、この場合は、積分ではなく、総和となる。離散系の畳み込みのk番目の要素は、 (f*g)(k) = 杷(n)*g(k-n) と表される。但し、離散系では区間が有限であるため、周期関数と見なされ、循環畳み込みとなる。つまり、f が区間を周期として繰り返し現われるとしている。ちなみに、連続系では、-∞から+∞の線形畳み込みとなる。 ○多項式の掛算 さて、f、g を多項式の係数列とすれば、簡単のため、3要素とすると、その掛算は、
となる。最下段が積の結果である。これは、実は、離散系の畳み込みに他ならない。しかも、筆算で行う数値の掛算とも同じである。但し、筆算の掛算では、随時桁上げ処理を行うことが異なっている。数値も多項式であるから、数値の掛算も、離散系の畳み込みと同じと言える。 ○畳み込み定理 フーリエ変換の重要定理に、畳み込み定理がある。それは、 F(f*g) = F(f)・F(g) で、実空間の畳み込みのフーリエ変換は、元の関数のそれぞれのフーリエ変換の単純な積(要素同士)になる。下図のようになる。乗算回数が、N2 から N になる。これは、例えば、フィルタ(周波数フィルタ)では、フーリエ空間では、要素が既にそれぞれの周波数成分なので、それぞれの成分を個々に補正(フィルタリング)すれば良い・・・と言うイメージを浮かべてもらえば分かり良い。
もう、お分かりと思うが、数値を多項式と見立てて(本来は多項式なのだが)、多項式の乗算、即ち、離散系の畳み込みをフーリエ空間で行い、それを実空間に戻して、数値の乗算をしたことにするのである。 今、4096個(まあ、桁と思って良い)の一次元データに4096個データの一次元フィルタを掛けるとすれば、実空間では、4096*4096 約1678万回の乗算が必要となるが、DFTでは、畳み込みだけでは、0.4万回で済む。前後に3回のDFTが必要となるが、この分は、FFTで行えば8万回程度なので、約8.4万回で済むことになる。約200倍のスピードとなる。 FFTにより、畳み込みがDFTで現実的に行えるようになり、今日の隆盛を見ているのである。 ●方法 ○数値の扱い DFTではサンプリングデータ列 a(i) が入力となる。今、乗算したい数値N を、多項式とすれば、 N = (ai * Bi) と表せる。つまり、数値N は基底数B のB進数表現に他ならない。UltraLong では、B = 100,000,000 となっている。この多項式の、ai を、サンプリングデータ列 a(i) と思えば良い。 ○FFT乗算の方法
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