大手拓次
『藍色の蟇』

香料の顔寄せ

  テユベルウズ
  月下香(Tubereuse)の香料


 
 手をひろげてものを抱く、
       は         けしやう
 しろく匍ひまわる化生のもの。
 
 それは舟のうへのとむらひの歌、
 
 あたらしい憂ひをのせてながれてゆく、
        よる   けしやう
 身重の夜の化生のもの。