風のなかに巣をくふ小鳥
莟から莟へあるいてゆく人
まだ こころをあかさない
とほいむかうにある恋人のこゑをきいてゐると、
ゆらゆらする うすあかいつぼみの花を
ひとつひとつ あやぶみながらあるいてゆくやうです。
その花の
ひとの手にひらかれるのをおそれながら、
かすかな ゆくすゑのにほひをおもひながら、
やはらかにみがかれたしろい足で
そのあたりをあるいてゆくのです。
ゆふやみの花と花とのあひだに
はなばち
こなをまきちらす花蜂のやうに
あなたのみづみづしいこゑにぬれまみれて、
ごこち
ねむり心地にあるいてゆくのです。
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