萩原朔太郎
『月に吠える』より

  
  


 
ますぐなるもの地面に生え、
 
するどききもの地面に生え、
 
凍れる冬をつらぬきて、
 
そのみどり葉光る朝の空路に、
 
なみだたれ、
 
なみだをたれ、
 
いまはや懺悔をはれる肩の上より、
 
けぶれる竹の根はひろごり、
 
するどききもの地面に生え。