萩原朔太郎
『月に吠える』より

  
  草の莖


 
冬のさむさに、
 
ほそき毛をもてつつまれし、
 
草の莖をみよや、
 
あをらみ莖はさみしげなれども、
 
いちめんにうすき毛をもてつつまれし、
 
草の莖をみよや。

 
雪もよひする空のかなたに、
 
草の莖はもえいづる。