萩原朔太郎
『月に吠える』より

  
  天上縊死


 
遠夜に光る松の葉に、
 
懺悔の涙したたりて、
 
遠夜の空にしも白ろき、
 
天上の松に首をかけ。
 
天上の松を戀ふるより、
 
祈れるさまに吊されぬ。