萩原朔太郎
『月に吠える』より

  
  


 
つみとがのしるし天にあらはれ、
 
ふりつむ雪のうへにあらはれ、
 
木木の梢にかがやきいで、
 
ま冬をこえて光るがに、
 
おかせる罪のしるしよもに現はれぬ。

 
みよや眠れる、
 
くらき土壌にいきものは、
 
懺悔の家をぞ建てそめし。