萩原朔太郎
『月に吠える』より



雲雀料理

 
   五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする。
 
   したたる空色の窓の下で、私の愛する女と共に純
        ヽ ヽ ヽ ヽ
   銀のふおうくを動かしたい。私の生活にもいつか
 
   は一度、あの空に光る、雲雀料理の愛の皿を盗ん
 
   で喰べたい。