石川啄木

詩六章

  
  五 あゝほんとに

  よみせ                   はち
 夜店で買つて来た南天の鉢に、
 
 水をやらずに置いたら、
 
 間もなく枯れてしまつた。
 

 
 棄てようと思つて、
  はち
 鉢から抜いてみると、
                 ほ
 根までから/\乾せてゐた。

          ほ
 「根まで乾せるとは――」
 
 その時思つたことが
 
 妙に心に残つてゐる。――
 
 あゝほんとに
 
 根まで乾せるとは――




BACK戻る 次へNEXT
[石川啄木] [文車目次]