石川啄木と言えば、詩人としてより歌人としての方が有名ですよね。教科書などにも載っているし、受験などにもかかわって来るし、誰でも、「歌」の方ならひとつや二つは知っていると思います。ただ、ここではあえて「詩」の方を載せてみました。 石川啄木の詩をはじめて読んだのは比較的遅くて、社会人になってからです。読んでみて思ったことは、啄木の詩は、歌よりもずっと演劇的だ、と言うことでした。啄木の歌は絵画的というか、読んでいると情景が絵か写真のよう感じで浮かんで来るものが多いのですが、詩の方は、一幕ものの演劇のような、または短編映画のような感じがします。 ある種の緊張感が感じられるのも、啄木の詩の特長だと思います。歌から想像されるのとは違った彼の一面を伺い知ることが出来るのではないでしょうか。詩を読んでから歌の方をもう一度読み直すと、よく知っていると思った歌も、なんとなく別の表情を見せてくれるような気がする時があります。