島崎藤村

「落梅集」より


  
  黄昏

      た          かきね
 つと立ちよれば垣根には
 つゆくさ
 露草の花さきにけり
               ゆふぐも
 さまよひくれば夕雲や
               かどべ
 これぞこひしき門辺なる

            からすな
 瓦の屋根に烏啼き
 からすかへ
 烏帰りて日は暮れぬ
                 い
 おとづれもせず去にもせで
 
 蛍と共にこゝをあちこち



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