☆『戦場』の設定(2004 Oct.)(2005.Apr.小改造)

  一つ上の項目(→コミュニケーションデバイスの使用技能)とも関連するが、
 自分の長所を補強し短所を補える状況でコミュニケーションをとったほうが、
 異性との交流にかぎらずコミュニケーション全般は成功しやすいだろう。
 となると、対象異性とのコミュニケーションを試みる『戦場』をどのように設定
 するのか重要になってくる。広義の意味では、コミュニケーションデバイス
 を選択することも立派な『戦場設定』であり、恋愛や交際という情報戦に
 おいて有利な布陣を敷く仕掛けとして機能している。

  自分にとって極めて重要なコミュニケーションシーンにおいて、自分の
 苦手な場所・時間・方法を選ぶのは利口なことではなく、最も理想的な
 状況下でやりとりを行ったほうが良いに決まっている。あなたの恋愛や交際
 がどうでも良かったり自暴自棄のものならともかく、いわゆる恋愛状態に
 陥っていて必死の場合には、1%でも有利な条件を求めたいだろう。
 その際に自分が苦手で仕方ない場所や状況、時間を選ぶのは愚の骨頂
 である。もしどうしても苦手な環境を強いられる場合には、(その環境に
 慣れるだとか)何らかの工夫をしなければならないと感じる筈だろうし、事実
 そうするしかない。同様に、自分がいくら得意だからといって、対象異性が
 夜の電話を嫌っているのにやたら電話をかけるのもいただけない。相手の
 得手不得手を考慮してあげるのも、自分の得手不得手を考慮するのと
 同じく大切だろう※1

  また、対象異性とのコミュニケーションの目的や、対象異性とのコミュニ
 ケーションの進行の度合いによっても選ぶべき場所・時間・方法は変わって
 くる。例えばコミュニケーションの目的が配偶である場合と短期的な性的
 接触である場合では、選ぶべき戦場もまた当然違ってくるだろう(そして
 出会う異性もまた違ってくる)。例えば短期的な性的接触を目的としている
 場合、どこで“活動する”のが適切だろうか?国立美術館や宝塚大劇場で
 ナンパをしようと考えるのはどう考えても愚かで、渋谷駅前にでも行ったほう
 がいいに決まっている。また、交際対象を探している段階で規定すべき
 場所・時間と、親密な状態で規定出来る場所・時間も違ってくる。例えば、
 何回かしかしゃべったことの無い男性から夜中に毎晩電話をされれば
 (普通)女性はキレるか警戒するかするだろうし、いきなりホテルに誘うなど
 言語道断で、もはや二度と口を利いて貰えないだろう。

  つまり、対象異性に呈示しやすい『戦場』の種類は、恋愛や交際の進行の
 度合いと親しさの度合い――その恋愛や交際の状況――によってかなり
 異なっていると考えなければならない。そして、この度合いに則った形で
 『戦場』を選択できれば、不利を被りにくいな展開が期待できるとも言える。

  逆に、こちらからではなく対象異性のほうからコミュニケーションの場所や
 時間・媒体を指定される場合もあるだろう。この場合、その指定された内容が
 どういう意味を持つものかを考えることで、様々のヒントが得られるかもしれ
 ない。例えば対象異性がこちらに対して持っている信頼感や警戒感、対象
 異性が得意とする場面や好みとする状況、などを理解するうえで、指定して
 きた内容を吟味するのは意味があると思われる。これまた逆に言えば、
 こちらが指定してきた内容を、十分に聡い対象異性はアナライズしていると
 推定できる。もしもそのような対象異性が相手ならば、コミュニケーションの
 場や媒体を指定する事自体が大きなメッセージとなり得るので、有効かつ
 慎重に用いなければならないだろう。ただし、露骨に相手の戦場指定内容
 を探りすぎるのも考え物で、ダミーの情報を混入されてごまかされてしまい
 かねない。


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 【※1同じく大切だろう。】

  しかし、考慮してあげると一言で言っても、単純に“対象異性が少しでも
 コミュニケーションしやすく・コミュニケーションが円滑に”だけを目標と
 するだけとは限らない点には注意。もちろん、対象異性と対等かつ長期的な
 交際を目指しているならば、コミュニケーションを円滑に行うことに重きを
 置くのは適切と言える。

  ならば、コミュニケーションを敢えて円滑に行わない、という選択肢は役に
 立たないのか?対象異性の勘違いや誤解を提供するという選択肢に使い道
 はないのか?あなたが十分にすれていれば、こういった選択肢にも使い道が
 あることがお解り頂けるに違いない。
 コミュニケーションを敢えて円滑に行わなかったり、間違った情報のやり取り
 も目論みやすくすることが求められる交際の形式は、確かに存在する。
 または、そのような事が求められるように交際の状況が変化してしまうことも
 確かに存在する。全てのメリット・デメリットは、選択した行動と、その交際や
 コミュニケーションが持つ文脈・前提などによって規定される。もちろん、
 嘘や勘違いやディスコミュニケーションが前提となったコミュニケーションと
 いうものは、ある種哀しいものである。いやいや、そういったものを哀しいと
 捉えるのもまた、筆者ことシロクマの個人的な価値観に依るものか。

  きちんとした冷酷無情が可能で、十分に人でなしならば、嘘や勘違い・
 ディスコミュニケーションを前提とした戦術を的確に行使できる筈だ。
 もちろん、それには十分な資質が求められるだろう。