【症例4】
・オタク界隈・ネット界隈の女性との交流が『脱オタ』に決定的だった一症例
(Dさん、男性、脱オタ開始22歳、現在コンピュータ業界勤務、2005年6月寄稿)
以下のDさんの記録は、
nerd studyで私が書いていた事にとても似ていて、そういう意味では典型例といいたくなるような脱オタ記録です。女性への飢餓感、ファッションスキルの向上、コミュニケーションへのコンプレックス、オタク趣味etc様々なポイントが揃っており、それらを経つつもDさんは目指す変化を達成したようです。紹介する文章は殆ど原文ママとなっております
(色づけ・改行位置・句読点はいつものようにシロクマによるものです。ご了承ください)。コメントも含め、よくある脱オタ志望者さんにとっては参考に出来る点が多いと思います。
シロクマ注:
教育には熱心かもしれないけれど、ファッションという視点には乏しい家庭に生まれたDさん。団塊ジュニアというからには、私シロクマとほぼ同年齢という事になりますが、この世代の地方の大人達の多くはファッションという視点が乏しい傾向にある為、
男の子がファッションという視点を親から獲得する事が(現在の子と比べれば)難しいことでしょう。これは、団塊の世代が育った状況などを考慮すれば、致し方のない事なのかもしれません。ちょっと話は逸れますが、秋葉原で観察されるオタクファッションにおいて、同じオタクファッションでも団塊ジュニア世代と若い世代の間に幾らかの違いがあるのは、親の価値観の影響も幾らかはあるのかもしれませんね。
勉強は出来るけど教師に疎まれ、球技が駄目で女の子にいじめられるなんて、考えただけでも恐ろしい悪夢です。幼い日のDさんが人間不信になるのも当然なわけで、
こんな状態でコミュニケーションスキル/スペック&コミュニケーションへの自信が深まる筈もありません。勉強が出来るというアドバンテージは、進学校を受験するあたりから段々決定的になっていきますが、小学校や中学校では殆ど評価されず、運動がどれだけ出来るのかのほうが遙かに
(同性からも異性からも)評価されやすいものです。惨めな思いをしたことも一再ではなかった事と推察します。
そしてやはりここで出てくるのがオタク趣味です。TRPGとはまた、濃いところを専攻しましたね。TRPGは今でこそ比較的マイナーなオタク趣味ですが、1980年代後半ぐらいにひとつの大きなブームがあった事もあり、オタクの間でそれなりに流行していました。TRPGという趣味は、
1.時間と労力を食いまくる。上限は基本的に無し。
2.のめり込んで頭を使えばかなり自由度の高い創造性が期待できる。
3.あまりモテそうにない男性を中心に流行し、漫画やアニメなどとの親和性大
4.趣味内でいかに評価されようとも、触った事の無い人間には評価され難い
という特徴を持ち、こういった特徴自体はコンピュータプログラミングと似ているといえるかもしれません。どちらの趣味も、オタク仲間からは理解・評価こそされ、異性や非オタク達からは“なんだか解らない事をやっている根暗趣味”と烙印を押されそうな代物です。残念ながら、これらの趣味への傾倒自体も、もしかしたらDさんに対する人々の印象を悪くしていた可能性があるんではないかと疑います。後で伺ったところ、この頃のDさんはTRPGオタクとしては極めて高度なレベルを達成していたようなんですが、それがそれとして評価出来る・理解出来るのは、オタク分野に造詣のある人間だけでしょうから。
しかし、だからと言ってDさんがTRPGにのめり込んだ事を非難出来るでしょうか?とんでもない!
おそらく、Dさんにはオタク趣味しかなかったんでしょう。小学校〜中学校における残酷なヒエラルキーにおいて底辺近くで過ごした人間が、誰かから
(別に女の子でなくてもいいから、誰だっていいから!)認められる契機を得ようと思った場合、オタク趣味を選択するのもひとつの流れでしょう。特にDさんの場合、
運動能力よりも知的作業のほうが向いていたっぽいので、オタク趣味の世界で頭角を顕わすのはそれほど難しいことではありません。誰にも認められない、誰にも敬意を払われない身分をあてがわれた少年が、唯一認められて敬意を払われ得る場所を見つけた時、そこに飛び込むのはむしろ自然な選択といえるのではないでしょうか。将来大きな副作用があるかもしれないなんて、この頃にはわかんないでしょうし、楽しいこと・楽しいポジションを見つけることも子供時代の大切な課題のように思えますし。
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※本報告は、Dさんのご厚意により、掲載させて頂きました。今後、Dさんの御意向によっては、予告なく変更・削除される場合があります。ご了承下さい。