シロクマ注:
大学入学直後に一念発起…しかかったようですぐにしぼんでしまうという現象は、大学に進学したオタクさん達に普遍的にみられるストーリーですが、まあそれはともかくとして。
既視感のあるストーリーだと感じた人もいることと思います。
症例1のAさん然り、
症例2のBさん然り、戦場はそれぞれ異なれど、いずれのケースでも“異性を巡る気持ち”“異性との出会い・コミュニケーション”が脱オタの動機として大きな位置を占めており、さらに異性との交際そのものが服飾を含めたコミュニケーションの技術を向上させていっています。そういえば、電車男もまた、異性との出会いと接近が彼を駆動したという点ではリアリティがあると言えるかもしれません。ひょっとしたら、世間で言われる
“脱オタ”という行動は、異性を求める心性が無ければ発生しないのかも?よく考えたら、目下の所、同性への優越を獲得する為だけに脱オタしたという話は殆ど聞きません。私の知る脱オタ者は須く、異性がらみの動機を隠し持っていますし。
それにしても、何をすればいいのか解らない、どこから手をつけたらいいのか解らない中、Dさんも必死だった事でしょう。オタコミュニティのなかの女王蜂にせよ、やおい女性にせよ、恋人探しの環境としては明らかに不向きなフィールドですが、理系大学でオタクをやっていると異性と出会う機会が他にはなかなか思いつかない&踏み込めないことでしょう。だからこそ、オタクコミュニティの中に女王蜂が発生して、猛威をふるいがちなわけですが。とはいえ、オタク世界の女性との交際は決して無駄だったわけではなく、後日のチャットにおけるノウハウとして密かに蓄積していたと私は推定しています。
出会い系の前段階のトレーニングとしては、むしろぴったりだったのかもしれません。異性を前にしてキョドらない事や、女性と男性の感性の微妙な違いを知る事、これらはやおい女性達と友達でいるだけでもかなり学習する事ができます
(彼女達も、女ですから)。少なくとも、男性だけのオタクコミュニティにこもっているだけではどうにもなりません。
そして、出会い系で出会った女性。今は奥さんになっているその女性がDさんの服飾上の問題点を指摘してくれたばかりか、服をじかに買ってくれたとは!女性がパトロン兼アドバイザーになってくれるなど、
幸運の女神が気まぐれを起こしたとしか思えないエピソードですが、服飾のノウハウをマスターするには最適の環境が得られた事だけは間違いありません。そういえば、他の多くの脱オタの人達も、女性との出会いが大きな転換点になってますね。交際の転帰は様々でも、決定的な何かを与えてくれた女性達との出会いが脱オタ者を導いていくのでしょうか。
“
自己侮蔑という男子の病気には、賢い女に愛されるのがもっとも確実な療法である”
ニーチェの格言より
重要な鍵となる女性との出会いは、脱オタの必要条件なのかは定かではありませんが、十分条件なのでは?と思いたくなってしまいます。どちらにせよ、大事な女性との出会いだけでなく、
様々な人達との出会いと別れがDさんのストーリーを成立させている事は間違いありません。女王蜂だってオタク仲間だって、もし出会ってなければ今のDさんのストーリーも変わっていたのかもしれません。オタクフィールドから少しづつ疎遠になっていったとしても、思い出や感謝はDさんの心の中にずっと残るのでしょう。
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※本報告は、Dさんのご厚意により、掲載させて頂きました。今後、Dさんの御意向によっては、予告なく変更・削除される場合があります。ご了承下さい。