シロクマ注:
同人誌=エロ本!この図式に憤慨するそこのオタクさん、あなたは多分、年寄りです。
それはおいといて。
ここまでご覧頂ければ分かる通り、このKさんにはいわゆる「コミュニケーションスキル/スペック」上の決定的な問題がありませんでした。中学校以降、ニキビによって顔面に関する劣等感が出現しているものの、“最後までいけなかった”ことがあくまで問題になる水準の話であってクラスの男女と根本的にコミュニケーションが出来なかったというわけではありません。また、いじめられた事が祟ってオタク趣味に走ったわけでもなければ、オタク趣味に走ったことが祟って侮蔑されたわけでもありません。スクールカースト
最底辺を彷徨っていたというわけではなく、クラスに十分適応出来ていた、けれどもアニメブームに乗ってオタク界隈に触れた、ということでしょうか
コミュニケーションや対人関係に関する苦手意識という観点において、Kさんの感覚は“失われた十年世代”の脱オタ症例報告の皆さんとはかけ離れています。また「オタク趣味にしがみついていなければやってられない」というある種の強迫性・呪縛性もみられないのです。アニラジやエロゲーといったコンテンツに対峙するスタンスにも、それが現れています。おそらく
Kさんにとって、アニラジやエロゲーは“無ければ生きていけないほど切実なモノ”でも“アイデンティティを一点賭けしなければならないもの”でもなかった、ということです。
この屈託の無さは、Kさんに限らず、比較的若い世代の最近の脱オタ症例報告とも合致する傾向ですし、ネット上で最近みかけることが多くなった、若くて屈託の無いオタク趣味愛好家の傾向とも合致します。古い世代の「おたく」や「オタク」のなかには、これはオタではない、などと言い始める人もいるやもしれません。しかし、Kさんのような事例――おそらくは、1995年以降の時代からポツポツ出現した若い世代にありそうな事例――ももっとクローズアップされても良いのではないでしょうか。
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※本報告は、Kさんのご厚意により、掲載させて頂きました。今後、Kさんの御意向によっては、予告なく変更・削除される場合があります。ご了承下さい。