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カンヌ国際映画祭では、2001年より、映画の中での犬の演技を評価するThe Palm Dog Awards が行われている。映画祭としては非公式ながら、アットホームかつ活気あるイベントである。
英国人ジャーナリスト、トビー・ローズ(Toby Rose) によって設立されたこの賞は、映画祭に参加した記者たちが審査員となって、出品された数々の映画の中から最優秀犬を選ぶ。(線で描かれた犬、アニメの犬、素で出演している犬が選ばれることもある。完璧に訓練された犬よりも、自然な演技を披露した犬が賞を獲得する確率が高い傾向にある)
審査員長はRoseの飼い犬でモデル/タレント犬:Mutley(ワイヤーフォックステリア)が設立時より務めてきたが、2008年に13歳でこの世を去った。 2005年はMIXのHarry、2007年はヨーキーのMourinho嬢 、2008年はパグのMariusが審査員長に。

パルムドッグ賞公式サイト

受賞した犬には、“PALM DOG”と銘が入った首輪が贈られる(当初は黒地レザーに金文字。2007年は赤地の首輪、2008年は黒地に戻り、銘が白(銀?)色になったりと変遷がある)。次点の犬にも、"honorable prize band"が贈られる。

[ パルムドッグに関係するいろいろなこと ]

☆パルムドッグとはもちろん、カンヌ国際映画祭の最高賞“パルムドール”をもじったもの。
Cannes Palme d'Or (カンヌパルムドール)→canine palm dog 犬版パルムドール。canineは、英語で“犬”の意味。
☆さまざまな俳優・監督がパルムドッグに賛同!
・クロエ・セヴィニーは、パルムドッグの“親善大使”!
・2007年より、マルコム・マクダウェルが賛同決定。
・シャーロット・ランプリング、ティルダ・スウィントン、ショーン・ヤングらが首や額や足にパルムドッグ首輪を巻いて、公式サイトに登場。
☆ローズ氏は2006年6月、2005,06年製作の映画の中から優秀な犬を選ぶ、The Barkers Awardsを開催した。 翌2007年にはファイド賞を設立。



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(受賞犬の名前は、本名が判明している場合は本名+役名です。判明していない場合は役名です)




アニバーサリーの夜に

オーティス Otis 雑種 
出演映画:『アニバーサリーの夜に』(2001/米) The Anniversary Party “ある視点”部門
役名もオーティス
飼い主:女優,ジェニファー・ジェイソン・リー (同映画の監督・脚本・製作も担当)

犬データ:ジェニファーによると、オーティスはピットブルやレトリバーなどなど様々な犬種の血を引く雑種なのだそう。(AHAサイトではシェパード=バセンジーMIXになってるけど)
PALM DOG首輪をつけたオーティスの写真

"Highly commended" 次点(次に高く評価された犬):"Large"(2001/英)出演犬 Delgado (本名Leo)




過去のない男

タハティ  Tahti 雑種
出演映画:『過去のない男』(2002/フィンランド) The Man Without a Past コンペティション部門
役名:ハンニバル
飼い主:映画監督,アキ・カウリスマキ(同映画の監督)

犬データ:1995年12月5日生まれ。“タハティ”は、フィンランド語で「星」の意味。 カウリスマキ映画に代々出演する女優犬一家の生まれで、お祖母さんライカは『ラヴィ・ド・ボエーム』、お母さんピートゥは『白い花びら』 に、それぞれ出演している。(『過去のない男』公式サイトより)

次点:"Mystics"(2002/アイルランド) に出演したジャックラッセルテリアのGeorge (本名Sonny)




ドッグヴィル スタンダード・エディション

モーゼス Moses 雑種 
出演映画:『ドッグヴィル』(2003/デンマーク) Dogville コンペティション部門

犬データ:ほぼ全てのシーンで、黒い地面に白い線で描かれた犬の絵で 表現されている。生身の犬としては、吠える声が聞こえるのと、ラストに一瞬現れるだけ (ただしこの一瞬現れる犬、番犬としてかなり使えそうないい面構えをしている。黒・白・茶の 霜降り模様の大きな犬だった)。

次点:『ベルヴィル・ランデブー』(2002/仏・加・ベルギー) のブルーノ(アニメ)




モンドヴィーノ

すべての出演犬 [有名なアメリカのワイン評論家、ロバート・パーカーの飼い犬フーバー(バセットハウンド)&ジョージ(ブルドッグ)、ワイナリーの飼い犬たち、街角の犬たち]
出演映画:『モンドヴィーノ』(2004/仏・米) Mondovino コンペティション部門
役名:ドキュメンタリーなので彼ら自身

2005年10月下旬より公開!

犬データ:この映画はさまざまなワイナリーを訪ね歩く内容のため、そこで飼われている犬たちが多数出演している。 ワイナリーの犬たちはノーリードでとても快適そう。監督のジョナサン・ノシターは犬好きらしく、犬の映像に人物のコメントをかぶせたり、「犬の名前はなんですか?」と尋ねる回数も多い。

次点:エミール・クストリッツァ監督作品 『ライフ・イズ・ミラクル』(2004/ユーゴスラビア・仏)出演犬。 主人公の犬“ジュカ”が一番目立ちますが、パルムドッグ公式サイトの文章を読んでると、どうも市長の奥さんの犬リリー(ペキニーズぽい)を追いかけてくる?お腹のすいた野良犬、こちらのようです。 車の後部座席に飛び乗り食べ物を奪うシーンは、なかなかパワフル。
2004年映画祭終了時に出た記事には、コンペ部門出品作 『レディ・キラーズ』(2004・米)で、CMタレント犬オットーを演じたブルドッグが 高く評価されたとある。こちら、短い出番ですが、かなりインパクト大!




天空の草原のナンサ デラックス版

ツォーホル  Zochor 雑種
出演映画:『天空の草原のナンサ』(2005/独)The Cave of the Yellow Dog マーケット(見本市)で上映。
役名:ツォーホル
飼い主:ナンサが飼ってくれてるといいなぁ…。
2005年12月23日より公開! ドイツ映画ですが、モンゴルが舞台の作品です。

犬データ:顔が黒っぽくて白い身体に黒いぶち。物語中では少女が拾って家に連れ帰るのだけど許されないという、子供+犬には王道の流れかな。 詳しくは特集ページで。

次点:『ユアン少年と小さな英雄』(2005/英)に出演した、ウェストハイランドホワイトテリア。役名ボビー(本名もボビー)。 こちらは有名なスコットランドの忠犬ボビーの物語(実話)を元に、少年と犬の交流を描いている。また、コンペ出品作品 『ブロークン・フラワーズ』『アメリカ,家族のいる風景』の出演犬(どちらも出番一瞬)も注目された。




マリー・アントワネット (通常版)

モップス  Mops パグ 
出演映画:『マリー・アントワネット』 (2006/米) Marie-Antoinette コンペティション部門

"Mops" は、ドイツ語で「パグ」の意味だそうですよ。
日本公開は2007年1月20日より。

犬データ:マリー・アントワネットがかわいがっている犬(モップスは実在した犬で、犬種もパグ)。しかし、フランスへ嫁ぐことになったため、別れることに…。すべてを捨てねばならないマリー、愛するモップスと引き離される瞬間の辛さといったら! 犬は短い出番だったが、愛らしい表情としぐさが、別れのつらさを納得できるものにさせた。

次点:"Pingpong"(2006/独)に出演した、ジャイアント・シュナウザーのSchumann。
コンペ出品作 『街のあかり』(アキ・カウリスマキ監督作)、"Red Road"出演犬も注目された。





☆2007年は2作品から受賞犬が出ました。

ペルセポリス

Yuki
出演映画:『ペルセポリス』 (2007/仏) Persepolis コンペティション部門

犬データ:アニメーション。主人公がウィーンに留学した時の下宿先の犬。実話をベースにしているので、飼い主に溺愛されているこの犬は実在していたのか? 本能に忠実で、かなり頭の悪い犬として描かれており、顔もアニメ史上1、2を争うアホっぽさ。だけど、作品の中ではほっとさせてくれる存在、というのも選ばれた理由のひとつらしい。作品自体はコンペ部門において審査員特別賞を受賞している。日本公開は、2007年12月22日より。



捨て犬マッカムの大冒険 [DVD]

すべての野良犬キャスト
役名:ケン、ピアック ほか
出演映画:『捨て犬マッカムの大冒険』 (2007/タイ) Ma-Mha (Mid Road Gang) マーケットにて上映

犬データ:元々訓練されていた犬たちに加え、本作のために野良犬たちが保護施設や路上などでスカウトされ、訓練を受けて出演した。当初受賞者として名前が上がっていたおもしろコンビのケン&ピアック役の2匹を含め、彼らへの賞となったようだ。
作品自体は、犬が主役で犬がしゃべる(口は動かない)、直球犬映画。飼い犬だった主人公犬マッカム(タイ・リッジバック・ドッグ。マカームの方が正しい発音のような気がしますが)が捨てられ野良犬世界に入ることになり、繰り広げられる冒険を描く。タイの犬事情もきちんと描かれ、面白くて切ない、いい映画になっている。とにかく犬たちの演技がスゴイ! 2007年のGiffoni Film Festivalでは、"Best Film"を受賞している。

次点:なし





ウェンディ&ルーシー [DVD]

ルーシー  Lucy ミックス
出演映画:『ウェンディ&ルーシー』 (2008/米) Wendy and Lucy ある視点部門
役名:Lucy
飼い主:Kelly Reichardt (本作品の監督)

犬データ:普段は監督とニューヨークのクイーンズに住んでいるルーシー。作品内では、ミシェル・ウィリアムズ演じるウェンディと旅路を共にするタイトルロールを演じた。
日本未公開だが、CSチャンネルのシネフィル・イマジカにて2012年1月29日に初放映された。



☆2008より“審査員特別賞”が出ています(次点はなくなったようです)。
ホルテンさんのはじめての冒険 [DVD]
モリー
 Molly ミックス
出演映画:『ホルテンさんのはじめての冒険』(2007/ノルウェー) O’Horten ある視点部門

犬データ:ベント・ハーメル作品にぴったりの、淡々とした、それでいて愛らしいたたずまいのモリー。主人公の孤独な生活に光を与える役柄です。日本公開は、2009年お正月第二弾ロードショー。





カールじいさんの空飛ぶ家 [DVD]

ダグ  Dug 
出演映画:『カールじいさんの空飛ぶ家』 (2009/米) Up オープニング作品

ディズニー&ピクサーの3Dアニメーション。日本公開は2009年12月。

犬データ:主人公が南米で出会う、ぽっちゃりした茶色の犬。G・レトリバーぽい外見だが、ポインティング動作もする。探検家マンツの元で怪鳥を追跡するたくさんの犬たちの内の1頭で、人間の言葉を話すための翻訳首輪をつけている。のん気で愛らしい。アルファ、ベータ、ガンマ(ドーベルマン、ロットワイラー、ブルドッグ)の悪役トリオもいい味出してます。監督のボブ・ピーターソンがパルムドッグ首輪を額に巻いて嬉しそうにしていたのも印象的でした。


審査員特別賞
籠の中の乙女 [DVD]
Rex
出演映画:『籠の中の乙女』 (2009/ギリシャ) Dogtooth ある視点部門
日本公開:2012年8月

Minority report mention
tennents 出演映画:『Fish Tank』 (2009/英・蘭) コンペティション部門

コンペ出品作(クエンティン・タランティーノ監督) 『イングロリアス・バスターズ』に出演した黒いプードル、ラース・フォン・トリアー監督作 "Antichrist" に出演したキツネ(!)も注目された。






アルバート Albert ボクサー
出演映画:『タマラ・ドゥルー〜恋のさや当て〜』 (2010/英) Tamara Drewe オフィシャルセレクション・非コンペティション部門
役名:ボス

犬データ:ロックスターの愛犬。すごい勢いで庭に穴を掘ったり、牛たちを追いかけたり…。アルバート演じるボスの画像は、こちら
日本未公開だが、WOWOWにて2012年5月20日に初放映された。


審査員特別賞
四つのいのち [DVD]
Vuk ボーダー・コリー
出演映画:『四つのいのち』 (2010/伊・独・スイス)Le Quattro Volte 監督週間
犬が入った長回しシーンが技ありで素晴らしい。作品中、プロの俳優は犬だけだったとか! 犬撮影時の苦労など、監督が公式サイトのインタビューで話してくれてます。2011,4/30、日本公開。

オープニング作品 『ロビン・フッド』に出演したアイリッシュ・ウルフハウンド(←と、記事にあったのだがこれは犬種間違い?出演犬たちの中で一番目立つのはスコティッシュ・ディアハウンド)も注目され、賞を争った。






アーティスト コレクターズ・エディション [DVD]

アギー Uggy  ジャックラッセルテリア
出演映画:『 アーティスト』 (2011/仏) The Artist  コンペティション部門
役名:主人公の愛犬
飼い主:オマー・フォン・ミュラー(アニマルトレーナー)

犬データ:愛らしく賢く、多才な姿を見せるアギー(男のコ)は、『恋人たちのパレード』『Mr.Fix it』等の映画や、多くのCMに出演してきた。スケートボードが得意。


審査員特別賞
ル・アーヴルの靴みがき 【DVD】
ライカ  Laica  雑種
出演映画:『ル・アーブルの靴みがき』 (2011/フィンランド・仏・独) Le Havre コンペティション部門
役名:ライカ
飼い主:アキ・カウリスマキ (本作品の監督)

犬データ:カウリスマキ作品に代々出演する女優犬一家の五代目。四代目パユ(『街のあかり』に出演)の娘。ちなみに、三代目のタハティは第2回のパルムドッグ受賞犬! 『ラヴィ・ド・ボエーム』に出演した一代目も、ライカという名前だった。

"Red Dog","The Fairy","This Must Be The Place"の出演犬も注目され、賞を争った。






Smurf  パーソンラッセルテリア
出演映画:『 Sightseers 』 (2012/英) Sightseers  マーケットにて上映
役名:Banjo/Poppy

犬データ:白っぽい毛色のテリア。もう一匹 "Ged" が、助演した。主人公が殺した(!)犬にそっくりの犬が現れるという設定らしい。


審査員特別賞
Billy Bob  ジャックラッセルテリア
出演映画:『Le Grand Soir』 (2012/仏・ベルギー・独) Le Grand Soir ある視点部門
役名:8-6

犬データ:主人公兄弟の兄の相棒犬。かなりのパンク魂で行動するが、結構愛らしいところもあるらしい。この作品はある視点部門でも審査員特別賞を受賞している。