3-8.日本にベンチャーが育たない理由
(2000.09.09)
ベンチャー企業が日本を救う!などと、政府首脳もマスコミも囃し立てていますが、
誰でも出来ることならやりたいのです。
でも出来ないのは何故でしょうか。
日本では出来ないからです。出来ないように社会全体がシステム化されています。
それを若者よ中小企業よと言うのは、呆れるほかありません。
一番大きなポイントは、特許です。
日本では、企業でも大学など公の研究機関でも、特許を取得した場合、
所有権は組織に帰属します。
これが、日本でベンチャービジネスが育たない理由です。
欧米では、企業や大学の研究者が特許を取得して、それをもとにハイテク企業を
起すのです。
今の日本は、武器なくして、戦えと言っているのと同じです。
それでは、何故日本では、特許が開発した個人に所有権が無いのでしょうか?
実に比較文化人類学的に説明できます。
日本は、人間より物が大切なのです。個人より組織が大切なのです。
研究・開発には相当な費用がかかります。
それを負担するのは、企業や政府など組織です。
ですから日本は資金を出した者に、所有権が発生します。
では、欧米は何故個人に特許の所有権が与えられるのでしょうか!??
理由は、人間尊重、創造力の尊重が、あるからです。
自由と真理を希求する精神があるからです。
どんなに高額な研究費を出しても、創造力ある研究者が居なければ、
成果は出ません。
実に単純明快な真理に気付かないのは、日本人がお金に目が眩んでいるからでしょう。
お金より大切なものこの場合は、創造性の大切さに気付かないからです。
研究費を出したのに、特許を持って辞めていくのを、企業や政府は大損だと
思うでしょう。
けれど、それが廻り回って、国家を豊かにして、国民を豊かにすることに
気付くべきです。
欧米を、四半期の決算に振り回される、器量の狭い国だと言った多くの政財界の
人達がいましたが、そっくり返してもらうべきです。
器量の狭いのは、実に日本です。
研究者・技術者が夢を持てる、社員一人一人が夢を持てる、学生が夢を持てる、
子供が夢を持てる。
すべての人に、夢と希望の無い社会は、いずれ滅びます。
ビル・ゲイツ氏を批判する経営者や政財界人は、全財産の半分を寄付してから、
言って下さい。
日本は寄付の税控除がないから等ど屁理屈言わないで、それでは税控除分は予め
除いて、例えば3分の1を寄付したら如何でしょうか。
そんな日本を見限って、頭脳流失は益々増えています。
芸術家もそうです。企業も日本に拘らなくなりつつあります。
老後の福祉が充実した地方自治体に引越しする気持ちは、分るでしょう。
同じことです。
夢も希望も無く、規制や苦痛ばかりが多ければ、脱出能力のある人・企業は、
日本を去って行きます。
日本に残るのは、無能で、日和見で、親方日の丸で、創造性の無い無気力な
人ばかりになってしまいます。
あとは不幸にも健康的にや家族関係や、日本的なしがらみに縛られた不幸な人も
同じ目に遭ってしまいます。
ある事実をお知らせします。
日本の大学でも、民間企業の研究所でも「アメリカのやってない研究はするな」と
言われています。
国力でも、過去の研究成果でも、雲泥の差があるアメリカと同じ研究をしていては
勝ち目はありません。
それでも自主独立な研究をしないのは、優位に立とうという意志が無いからです。
これでは、いつになっても、日本は後進国から先進国には、なれません。
いつか書きますが、日本はアメリカの慈悲で、下請国としてだけ経済規模が大きく
なっただけです。
特別な技術も学問も、知的所有権も全く有りません。
日本は、過去も現在も、後進国、低開発国です。
このままでは、未来もそうです。
日本を、夢と希望のある国にしたいものです。