3-17.高級デジタルカメラの嘘
(2002.06.06)
この文章は、書こうかどうか悩みました。
ネット上には、たくさんのデジタルカメラファンがいらっしゃるからです。
コンパクトカメラやAPS("Advanced Photo System")カメラ程度にデジタルカメラを
楽しんでいらっしゃるならよいのですが、最近は一眼レフカメラと同じほど高額なものが
発売され、レンズも一眼レフと同じマウントなので、共用できます。
しかし、今までも「横長テレビの嘘」や、この科学・技術のページにも、たくさん書いて
きましたように、「高級デジタルカメラはメーカーの嘘」です。
写真とは別のもので、ホームページや気軽に画像を使いたいのであれば、数万程度の安い
機種で十分すぎますから、そうお考えの方は問題ありません。
パソコンが4ヶ月毎に新型が発売されますから、デジタルカメラの機種を書くのは不本意
ですが、いかに高額か知っていただきたいので、書きます。
ニコン D1X : ボディ本体だけで \590,000 (レンズは無し)です。
D1H : ボディ本体だけで \470,000
D100: ボディ本体だけで \300,000
キャノン EOS−1Dキット \750,000
EOS−1D:ボディ本体だけで \680,000
EOS−D60キット \358,000
EOS−D60ボディ本体だけで \330,000
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普通に言っている、フィルムタイプの一眼レフの最高機種の価格も、お知らせします。
ニコン F5 ボディ本体(ストラップ付) \325,000
キャノン EOS1V ボディ本体だけで \270,000
値段が倍、半分も違いますが、それ程にデジタルは良いのでしょうか?
そんなことは全くありません、返ってまだまだアナログにかなわない状態です。
確かに画素数は巨大です。
ニコン D1Xの場合は、有効画素数5.3メガピクセル です。
機能も、フィルム式一眼レフに、酷似しています。
しかしですが、そのような高密度を、どうするのでしょうか?
パソコンのディスプレイで見ますか?
インターネットを楽しんでいる皆さんですから、CRTやTFTディスプレイの画素数は
ご存知だと思います。
1,024X768 ピクセル(XGA)1,024X768 = 786,432(約80万画素)ピクセルです。
CRTやTFTディスプレイで楽しまれる場合でも、最大表示画素数は下記ですから、
それ以上の高解像度は無駄です。
(SXGA) 1,280 X1,024 (約80万画素)
(UXGA) 1,600 X1,200 (192万画素)
近い将来を考慮しても、(いつ発売になるか、値段がどうかは不明です。)
(QXGA) 2,048×1,536 (約315万画素)
(QSXGA) 2,560×2,048 (約525万画素)
印刷する場合は、どうでしょうか?
現在デジタルプリントの機械はA4サイズ迄しか存在しませんから、写真でいう、
「4つ切り」が限界です。
それ以前にカメラ店に依頼できるサイズは2Lサイズ(サービス版と言っている2倍)しか
ありません。
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その他(六切、四切、A4など最大ワイド四切まで)
※取り扱いサイズについては、店頭にて、ご確認ください。
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と記載があります。
詳細は下記URLをご覧ください。
http://www.fujifilm.co.jp/printsize/digi.html |
フィルムのプリント全般に関しては下記をどうぞ。
http://www.fujifilm.co.jp/printsize/ |
A4サイズの画素数は、300万画素程度ですから、それ以上は無駄です。
ご参考までに、印刷の場合の目安を下記します。
用途に応じた画素数と画質の目安(プリントは 240ppi の場合)
なお ppi= pixel per inch:1インチ当りの画素数です
Ref. dpi= dot per inch :1インチ当りのドットです
用途 画素数(単位ピクセル) 画質
プリント(はがきサイズ) 130万画素程度(1280×960以上) 中以上
プリント(A5 サイズ) 200万画素程度(1600×1200以上) 中以上
プリント(A4 サイズ) 300万画素程度(2048×1536以上) 中以上
写真の補正 300万画素程度(2048×1536以上) 高
レタッチ(積極的な加工) 130万画素程度(1280×960以上) 高
E-MAIL で送るなら、35万画素程度(640×480以上) 低でもいいでしょう。
(E-MAIL の場合、あまり大きなものは送信できませんしね)
ホームページの素材 35万画素程度(640×480程度) 低でもいいでしょう。
どんなに素晴らしい写真でも、それをどうやって観るか、観て頂くか、それが不在です。
フィルムカメラの場合、コンテストでは、最低でも「半切」(「4つ切り」の倍)ですし
それは最低のコンテストで「全紙」(4つ切りの4倍)「全倍紙」(4つ切りの約8倍)が
当たり前の世界が、写真ですから、ワイド4つ切りでは、どうしようもありません。
個人の記録の域を出ませんのに、冒頭に書いたような値段のカメラは不要です。
ぼくは、この現象を、次のように考察します。
情報化時代と言われる中”デジタル・デバイド”が問題視されていますが、それを逆手に
取った、メーカーの策略だと思います。
誤解のない様、メーカーに販売妨害だと言われると困ります、あくまで個人的見解です。
本当にITに詳しい方なら陥らない部分ですが、知らないで知った気持ちでいる方が陥り
易い事態なので、不愉快に思われる方も多いと思いましたが、真実を知らないより知った
方が良いと思ったので、あえて書きました。
IT、情報化、インターネット、パソコン、デジタル化、などに踊らされないで、本当に
有用性を理解して、活用したいと思います。
いろんなページで、或る同じ結論に至ります。
日本のメーカーは、本当に消費者の利益を考えていません。
逆に、消費者を騙して儲けようとばかり、しています。
本当の技術的な進歩を怠り、姑息な見せかけが多すぎます。
ぼくが常に一番心配するのは、そのことです。
日本という狭い島国で、世界から情報的にも隔絶してるので、勝手なコマーシャルにより
庶民を誤魔化すような、商売をしていては、いつになっても、技術立国は出来ません。
小泉総理を見て下さい。
ぼくは就任早々に、ダメだと言ってきました。
欧米のマスメディアも、早々に、無能、無策だと見抜きました。
ただ、日本国民だけが、1年半もの貴重な時間を、期待し無駄に費やしました。
未来の歴史に、どのように残るか分かりせんが、重大な岐路になったと記されると思います。
デジカメは数万円で十分です。
高級デジタルカメラが欲しくなったり、買ってしまったら、デジタル・デバイドの被害者だと
思ってはいかがでしょう。
失礼な言い方ですが、事実です。
高級デジタルカメラが、もし必要な分野があるかと言えば、報道関係でしょうか、
新聞などに掲載するのには、一刻を争いますが、ネットで伝送できるからです。
この需要は、日本中で報道カメラマンの数だけですから、数えるほどでしょう。
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付け加えたいことは、ITは実に不安定なものだということです。
事実として、フィルム式カメラやレンズは、中古品でもかなりの値段で流通していますが
デジタルカメラは、数年で新品が5分の1などというのが現状です。
わかりやすい例をあげましょう。
タイムカプセルがありますが、記録メディアは今も昔も「マイクロフィルム」です。
宇宙人とのCONTACTのために、ボイジャーや多くの探査機に、人類のメッセージを
乗せていますが、メディアは「マイクロフィルム」が主で、他にステンレス金属板などです。
Y2K(西暦2000年問題)の時にも、コンピュータの大量のデータは、紙にプリント
されました、このように確実な手段を要求されると、科学・技術者の選択は、紙なのです。
どんなに科学が進んだように見えても、実際に進んでも、確実なのは「物理的媒体」である
「紙」や「マイクロフィルム」なのです。
電子媒体では、ないのです。
デジタルカメラの、メディアにしても、たくさんあり、不安定です。
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デジタルプリントをカメラ店が受け付けるメディアの条件を書いておきます。
対応メディア:
・ スマートメディア
・ PCカード(TypeI/II)
・ コンパクトフラッシュ
・ フロッピーディスク(1.44MB)
・ ZipTMディスク(100MB)
・ MOディスク(540MBまで)
・ メモリースティック(64MBまで)
・ CD-R(CD-RWを除く)
※ 上記以外のメディアは、お受けできません。
※ MOディスクは、フォーマット済みで市販されているもの以外お受けできません。
※ 撮影された画像はそのままお持ちください。
※ CD-Rは、書き込みソフトやフォーマットによってプリントできない場合がございます。
WindowsNTで読み込み可能なフォーマットやISO9660[パケットライト・データ圧縮を除く]で
書き込みしてください。
※ SDメモリーカードの受付は、販売店によって異なりますので、店頭でご確認ください。
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このようにOSに依存する部分もありますから、2年周期ほどで新型に変えられる隷属状態に
ある消費者は、危なっかしくて、購入をためらってしまいます。
インターネットやITは有用な部分もありますが、違いを見抜けないと騙される事もあります。
今現在、40才半ばより年上の方は、学生時代に「計算尺」というものを使っていました。
ぼくは関数電卓時代になってから学びましたが、父に玩具でもらったのが、どこかにあります。
ご近所の工学博士は、1.5メートルもある計算尺で計算をしたものだと自慢げに懐かしんで
お話ししてくれたことがあります。
40才後半以上のエンジニアにとって、計算尺は不可欠な物、不可欠な技術でしたが、今では
計算尺という代物は、製造も販売もされていません。
せっかく身に着けた技術も意味のないものになった実感を持っていらっしゃるでしょう。
ぼくは”FORTRAN”を知っていますが、最近、情報処理の国家試験から外されました。
このように電子化、情報化というものは10年足らずの技術であり、予測も不安なものです。