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4-3. "Anatomy of Love"



(2000.01.20)

「愛はなぜ終わるのか」という本を、偶然古書店で見つけました。本屋さんにあるか、
今も刊行されているかは不明ですが、きっと未だ刊行されていると思います。
本って著作権の関係で意外にみずものです、廃版、絶版なども多く、出版社では
再版予定や重版予定などを紹介しているのも、著作権が絡んで、需要と供給の
バランスがとりにくからですね。

 ご入手されたい方のために、ご紹介しますと(株)草思社刊
 ヘレン・E・フィッシャー著 吉田利子訳です。

 邦題の「愛はなぜ 終わるのか」っていうタイトルは悲観的な感じがするでしょう?
 でも内容はとっても学術的で、楽しくて、明るい気持ちになりました。

 「なぜ終わるのか」っていうタイトルは、翻訳者か出版社が売らんが為につけた
ものだと思います。
原題は”Anatomy of Love”っていうんです。
”愛の解剖学(的分析)”・・ちとぶっそうな名前だけど、悲観的な感じは
なくなったでしょ?

Anatomy of Love は実におもしろかったです。草思社は、それほど大出版社では
ないですが、単発的に良い本を出すので、好きです。
今も出版新聞に草思社の本が載ったとき、送ってくれるんです。

 これから読む方もいると思いますので詳細には書きませんが、人間の恋愛が
人類学的にも調べた結果、4年で終る必然性が、DNAというか、本能的に
あるのだそうです。
 おおまかなところを書きますと、たいていの動物は産まれてすぐ歩いたり
することは、ご存知だと思いますが人間だけは、歩くのさえ、産まれてから
1年ほどかかりますし、まして共同体の中で両親、特に母親から離れて生きて
いくのは、3歳までは保護が必要でしょう。
でも3歳ほどになれば、もし母親がいなくても誰かがいれば可能だと、著者は
言います。

 少し脱線しますが(ぼくの特徴です)なぜ人間は1年も母親の胎内にいながら、
産まれてから1年もしないと歩くことができないか、ですが、人間が他の動物に
比べて知能 = 脳が発達して、大きくなったからだそうです
つまり、脳が大きくなりすぎると、出産のときに胎児が産道を通る際の危険性が、
母子供に増大します、それで胎内で1年経ったくらいの胎児の大きさが出産の
危険性と産後乳児の発育の合理的に最適な時点なのだそうです

 ですから、愛が芽生えてから、妊娠して子供が産まれて、3歳になるまでの
期間 = 4年間 は母親に束縛があるそうですが、その後は、また自由に恋愛
して、別のパートナーを見つけて、同じことの繰り返しをするのだそうです。

 この本は、無意識に恋愛に倦怠が生じることが、実に論理的に、また人類学の
事実として記述されています。

 ただ僕は、人間はDNAや先天性だけで、全てが決まるとは思いませんので、
現代社会のあるべき姿、形を、理性が本能を越えて、創りだし、未来への希望に
つなぐべきだと、思っています。

 いづれにしろ、不毛の恋愛に関わる悩みを、理路整然と提示して未来への
希望へつなげてくれた、素晴らしい本でした。

 ぜひ、ご一読を、おすすめしたいです。


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