5-5.貿易をしていない国、アメリカ
(1999.08.20)
ひと昔前まで、日本はアメリカに追いついた、いや追い越したと本気で言っていたそうですが
信じられない<井の中の蛙、ですね。
日本は貿易が黒字だとか、アメリカは双子の赤字と言われる、貿易赤字と国家財政赤字が
すごいじゃないかと言うひともいますが、それは誤解です。
まず日本の財政赤字ですが、日本の赤字は、平成10年9月末現在の国債の発行残高が
国債:285兆3272億円
(うち長期国債:224兆9477億円、中期国債: 30兆8784億円)
国債の他に、借入金:86兆6467億円。政府短期証券:29兆1850億円を
あわせますと合計:401兆1589億円です。その後小渕さんが椀飯振舞したから、
もっと増えていますね。
さらにほぼ同額と言われる、都道府県債、市町村債を合わせると、1000兆に
近いお金です。
一方、個人金融資産は1200兆円、法人金融資産を加えると2500兆円といわれて
いますが、前の頁でも書きましたが、ろくでなしとは、指で数える時1から5までは自分側に
折るけど、6は相手側だから出せない、それは落語でしたか?
それほどけちな日本人が金融資産が2500兆円あると言っても、出さないし、法人に至っては、
どこまで正しい金額か信じられない世の中になってしまいました。
個人にしたって、金融資産は、金が融けると書くくらいですから、評価の仕方や、
本質的に評価の難しいものです。
誰かの資産は誰かの借金ですし、めぐりめぐって実際どこにいくらあるのやら、
といった類のものです
金融資産は、土地などの実物資産を含みませんが、貨幣資産の支払いを目的とする、
債権を含みます。
金融資産について、おさらいしますと、預貯金、貸付金、債権、株式、投資信託、
貸付信託、保険などですが、この中で、純粋に貨幣と直結しているのは、預貯金だけです。
それ以外は全て、資産回収するには、どれ程の貨幣になるか、つまり担保を貨幣にする場合を
考察しているのですが、大きな物に土地がありますが、この資産はとても、くせものです。
その理由は、日本の全国土を購入する費用で、アメリカ全土が、2つ購入できる計算になる、
程だからです。
そんな資産では、どれほどあろうと、資産とか、財産とか、思えますか?
言えますか??
それほどに日本の資産は、貧弱なものなのです。そんな高い土地を外国は買って
くれませんよ!
買い手の無い品物は、価値はゼロ、に等しいのです。
そんな訳で今の日本は赤ちゃんからご老人まで全ての日本人ひとりあたり、
800万円ほどの借金を抱えています。
おれは知らないと言っても、どうしようもない事実です。
その付けは少子化の進む未来のおとなたち、今の子供や赤ちゃん、これから産まれてくる
子供たちに、のしかかってきます。
一方、財政支出の方は、高齢化にともなって、労働人口の減少と、年金受給者の
増加、要介護者の増加など、気が滅入るデーターばかりですね。
年金は未だ高齢化のピークは20年も先なのに、既に破綻しています。
ぼくたちが今払ってる年金保険料は、ぼくたちの老後の為に資金運用しているのだと
思ったら間違いです。
そっくりいまのご老人に、支払われています。
今受給しているご老人は、ご自分が積み立てた金額より遥かに多い金額を受け取っています。
俗に自転車操業と言われるものです。
国債の発行も引受け先がなくなり郵便貯金に目を付けました。
最近パラサイトという言葉がはやってますが、実にこの国はパラサイト(Parasite)に
乗っ取られてしまったのです。
官僚および政治家というパラサイトです。
国民の現在も未来も考えないパラサイトです。
彼らは社会資本に寄生して生活している「資本生活者」であり、その資本を作る原資と
なっているのが「公共投資」であり「公共事業」なのです。
だから彼らは自己の生活資源である公共投資を手放すわけがありません。
手放したら飢え死にですから。
この国は、国策事業と国債による公共事業の配分を役人と政治家が決定しながら
経済運営を行っています。
SF小説には、しばしば宇宙からやってきたパラサイト(寄生体)が
地球を乗っ取るストーリーがありますが、この寄生虫は我々と同じ日本人の突然変異体
だから始末が悪いです。
政治家は選挙で落とせるが官僚はそうはいかないから厄介です。
政治家も選挙で与党の地位を維持できるほど勝ち続けることができるのも厄介です。
「寄生」と言う言葉を使うのは経済学の伝統です。経済学には昔から「寄生」
という呼び方がありました。
19世紀には土地資本に寄生してた人達を「寄生地主」と呼びました。
(土地)資本生活者と言う意味です。
アイルランドはイギリスの属国みたいな立場が長かった国で、イギリスの
「寄生地主」に苦しめられてきた歴史があります、そのせいで何10万人もが
餓死した歴史を持っている国です。
アメリカでは、大統領が変わると、ワシントンの人口の半数が変わるそうです。
公務員も局長から上は、全て変わるそうです、そのようなドラスティックな躍動が、
政界・財界の、そして社会・経済の活力になっているのだと思います。
ぬるま湯に漬かっていては、真剣にやれないのでしょうね。
パラサイト・イブから脱線してしまい失礼しました。
良い方に突然変異した政治家でも生まれて、日本を救ってくれないものでしょうか。
アメリカの財政赤字はありません。世界基軸通貨であるドルの国だからです。
アメリカ以外の大部分の国は財政赤字はドルで返済しなければなりませんが、
アメリカは紙幣印刷機を廻せば良いのです。
もうひとつの、貿易赤字も同じことです。
すべての支払いをドルでしている、ということは、アメリカには国際貿易がない
ということです。
日本と貿易するのも、国内の流通も、国内の通貨で決済しているのですから同じこと
なのです。
アメリカは世界で唯一、貿易をしていない国なのです。
日本に外貨がいくらあっても、それはアメリカのお金です。
山ほどドルがあっても国内では使えないでしょ!
海外資産もドルで売買したものでしょう。売ってもドルしか手に入らないですよ。
今インターネットをしているみなさん、パソコンの重要な部分は何でしょうか。
ハードウェアなら、CPU、インテルの独占状態ですね。
ソフトウェアなら、OS、、マイクロソフトの独占状態ですね。
経済も同じことです。アメリカはドルを世界中にばらまいて、世界を国内経済化
したのです。
いつのまに?、どうやって?、パソコンを見てください。
日本人が独創性の無いメモリーなどを大量に作って
儲けた!儲けた!っと言っている間に、着々とWindowsやら、
Pentiumやらを一生懸命研究していました。
はやく気がつけば日本人にも開発できたでしょうか?
ぼくは無理だと思います。
真似で、摸倣で技術開発と豪語してきた国民です。
竹やりで戦車に向かおうとした国民です。
有史以来、日本は自分達の力で自由や平等を手にした経験がないのです。
豊臣秀吉が勇み足で朝鮮まで出兵しただけでしょうか。
それが原因で短い政権になりましたが。
それ以来外国は恐くなったのでしょうか。
鎖国が続きました。
その時代を良かったと言う評価も可能ですが、間引きや姥捨てなどの事実から
目をそらしてはいませんか。
日本の歴史に平民が登場するのは明治以降だけです。
明治が訪れたのも黒船などの外圧でした。
太平洋戦争を終結させ日本に自由と平等をもたらしてくれたのも、欧米、
特にアメリカでした。原子爆弾は残念なことでしたが、あの尊い犠牲がなかったら、
もっと多くの日本人が竹やりを手に、戦車や火炎放射器で殺されたことでしょう。
戦後の繁栄もアメリカを主とした援助があったからです。
アメリカは沖縄を、ずいぶん昔に返還しましたが、北方領土は解決のめどもありません。
アメリカが自国の繁栄だけを目的にしていなかったことは理解できます。
もし、という言葉は難しい言葉ですが、もし太平洋戦争で日本が勝っていたら、
どんな世界になったでしょう
確かにアメリカも深謀遠慮して、自国の利益を考えないはずはありません。
これは全ての生命体、組織に必要なものです。
その上で世界中が平和で豊かに暮らせるようにと考えるのが、次善の策であり
人間に出来る限界です。
ヨーロッパはユーロ統合をして、アメリカに対抗しうるべく努力しています。
また、ヨーロッパはアメリカとは異なり大量消費文明に批判的な所もあります。
そのようなそれぞれの国の独自の文化、信念が希望を生み国を発展させていきます。
そうなのです。
経済学者がなんて言おうと、愛国心を持って、希望と信念を持って生きていくことが、
国や経済を発展させることなのです。
個人に希望が無くなれば、自殺しますか?、希望こそは個人も企業も、国も全ての
組織の生命力です。
超大国アメリカといえど、建国223年しかたっていない国です。
日本も生まれ変わったつもりで、発想の転換を計れば、道は開けるはずです。
進むべき道については、別のページでご紹介します。
たいへんな時代になっていますが、希望を忘れずに、
Never Give Up!!です。